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#13 インフルエンザとゆめちゃんの思い出

今回は、私がインフルエンザに罹ったときの思い出です。
ゆめちゃんの登場が少しあとになりますが、どうかお許しください。


私は、一度だけインフルエンザに罹ったことがあります。
それはゆめちゃんをウチにお迎えしてから約2年経った冬のある日。


朝は何ともなかったのに、勤務中に体調がどんどんおかしくなっていきました。
それまで体験したことがないほど、体がだるく重いのです。まるで大きな岩でも背負っているようでした。それに寒気もどんどん酷くなっていくのに、頭もボーッとして早退することも思いつかない状態になりました。

同僚が私の様子に気づいてくれて、早退と受診を勧めてくれました。
ああそうだそうしよう、とやっと思い至り、帰り道にあるクリニックへ。
結果、インフルエンザのB型と判りました。

ボーッとしていたはずの頭で真っ先に考えたのは、
「インフルエンザって猫にうつるの ?!」
でした。

もちろん、人にうつしたくないとも思っていましたが、とにかくゆめちゃんにうつしたくない気持ちが強かったのです。

***

自宅に戻ると、ゆめちゃんが出迎えてくれました。

おかえりなさ~い きょうははやいね~♪

やっぱり・・・
嬉しいのですが、今日はだめ。
「ただいま、ごめんね、今日は撫でてあげられないんだ」
手洗いとうがいを済ませ、マスクをしてPCを起動させました。
体はかなり重いし頭もまだボーッとしていたのですが、インフルエンザが猫にうつるのかまず確認したかったので、どうにか画面に目をやります。

その間も、ゆめちゃんは私の足元にやってきてスリスリ。

なでて~ あそんで~ 

だめだよ、ごめんねと何度か言うと、諦めて離れてくれました。

随分昔のことなのでお名前もURLもわかりませんが、獣医師さん監修の記事を見つけ、B型はうつらないということが確認できました。

見間違いではないなと、何度も見返してからベッドへ。

家族にうつさないようにマスクをしたまま寝ることにしました。
熱が高くなり、体はとても重いけれど、幸い咳はあまり出ませんでした。
これならあまり飛沫は飛ばないかも。少しホッとして寝落ち。  

ふと目が覚めた時、なんとなく重い感じがしました。体のだるさとは別に物理的に。胸を押されている感じ。
目を開けると、目の前にゆめちゃんのアップが。お布団の上にですが、スフィンクスのような座り方で。

眠ってから数時間経っていました。
ゆめちゃんいつ来たの? ずっとそこにいたの? あ、部屋のドアをきちんと閉めていなかったかも・・・

普段は目が合うとフイと逸らしてしまうのに、この時はじーっと私を見ていました。

どうしたの? だいじょうぶ?

ごめんね、ゆめちゃん。今日は一緒に寝られないよ。
今日だけじゃなくて、病気が治るまでは一緒に寝られない・・・

小さな声でボソボソと話すのが精一杯でした。

耳が良いから聞こえているはずです。普段は私たちの言葉をよく理解しているのに、この時は私から離れませんでした。

真っ直ぐに見つめてくる大きな目。 
心配してくれてるの? 看病してくれてるの?

ゆめちゃんにご飯だよと弟が声をかけると部屋から出て行きました。しばらくしておもちゃで遊ぶ音が聞こえてきました。うん、いつも通り元気そう。
でも遊びは少しで切り上げたようです。

カリカリカリ・・・小さな音がドアの所でしました。
「ゆめはそっちに行きたいらしい」と声が聞こえました。

私の状態やインフルエンザは猫にはうつらないらしいことは予め伝えておいたので、入れてもいいと判断したようです。ドアが開いて、ゆめちゃんがベッドに上がってきました。

そして、やっぱり胸の上へ。
・・・もしかして、ゆめちゃんは病魔から私を守ろうとしているのかな?
ボディーガード?

静かに私を見下ろし続けているゆめちゃんは、時々どこか、何もなさそうな所を見ます。じっと。

元々、何もない所をじっと見ることはありました。
猫はそういうものだと友人から聞いていました。

でもこの時は、まるで病魔から守ろうと、追い払おうとしてくれているように思えて、とても心強く、ゆっくり休むことができました。

数日間はそんな調子でしたが、私が快方に向かうと、自由に遊んだりお昼寝をする日常に戻りました。  

猫って本当に賢いなぁ。我が家の守護神ならぬ守護猫だね。 
ありがとうね、ゆめちゃん。
お礼に、美味しいご飯、あげるからね。



ここまで読んでくださり、ありがとうございます。




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