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【詩】真夜中の散歩

何かが重くのしかかっていた。

イライラ・焦り・不安・・・
それだけじゃ足りない。

周りの言葉がつるぎとなって私を貫く。何本も、何本も・・・

どう表せばいい? この痛みを。この怒りを。  

心はどんどん重く鈍く、動かなくなってゆく。

このままでは・・・私は壊れる。

なんとかしたい。なんとかしなくては。
それでも何をすれば良いのか分からず・・・

真夜中に散歩に出た。

静かだ・・・誰もいない。私独り。校舎もグラウンドも真っ暗。
家々の窓も真っ暗、皆眠っている。

私独り。空を見上げる。
今日は月が出ていない。星が降ってくる。

今は、今だけはこの星空は私のものだ。
誰にも邪魔されない、私だけの星空。


少し呼吸がゆっくりになった。
意識して深呼吸してみる。

田舎で良かったと思ったりして・・・
地上に目をやる。

ぽつんと立つ街灯とコンビニの光だけ。
お客さん来るの? 家は真っ暗なのに。

車が後ろから通り過ぎた。街の方へ向かう。
今から仕事? 医療関係? それとも工場?

現代では夜でも起きて働く人がいる。 

「おつかれさま」
口をついて出た自分に驚く。

空を見上げる。地球の半分は夜。
この夜空の下に約半分の人がいる。

大抵の人がこの夜空の下で眠っている。 

でも、眠らない人もいる。眠れない人もいる。
迷って苦しんで、考え込んで眠れない人も、目が腫れるほど泣いて、泣き疲れて眠った人もきっといる。

きっと誰もが悩みを抱え、事情を抱え、それぞれの道を歩んでいる。

自分のため 誰かのため。 
どちらか一方だけで生きてる人は、多分ほとんどいない。


もう一度空を見上げる。

ああ、静かだ。良い夜だ。
この夜が 星が 私の心を守ってくれた。

ああ・・・私は大丈夫だ。多分、まだ。
自分でも不思議だけど、そう感じた。


独り静かに、心に宇宙を受け入れる。

ああ 皆 幸せになるといい。
素直にそう思えた自分に驚く。

ああ・・・私は大丈夫だ。 きっと。

また、散歩に出よう。
私を受け入れてくれる、この空に会いに。

こう思うだけで透き通ってゆく。

皆 みんな 幸せになるといい





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