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【詩】過去を仮定する

「あの時○○していれば」
「あの時○○を選択していたら」

今の私はどんな人生を送っていただろう

いつもより更に 昏い影がぎるとき
弱い心が あらわになる

鏡の向こうに 映ってはいない世界を見る

そして
「送っていただろう」 と
送ってもいない人生を過去形で口にする

過去の仮定に意味は無いと
解っているのに

何を求めているのか 根底にあるのは

踏み出さなかった後悔か
己への失望か

何が欲しいのか

目に見える安定か
分かりやすい幸せか


陥りかけた迷路から抜けようと 頬を打つ
意味は無い 無いのだ 
と繰り返す

もし 何かを得られるとするなら
今と 今より後に
役立つかもしれない 知識と智慧

それだけを掬い取って
大きく息を吐いて 顔を上げろ 

それができたら 過去の仮定を
手離せる

代わりに 淡い光を この手の中に
両手で 大切に 胸に抱いて

それだけを 頼りに

今「何をしようか」 を
選択する






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