自己愛性人格障害 母の虚言癖によって貶められた私の強烈な記憶
私の母も、自分を優位に立たせて相手(私)を貶めるために嘘をでっち上げる癖があった。私が一番強烈に印象に残っている嘘がある。
ある年の年末年始、親戚の家に集まっていた時のことだ。私は小学3年生くらいだったと思う。母は5人兄弟の4番目で、一番上のお姉さんは兄弟姉妹をまとめる役としてリーダー的役割を果たしていた。何か困り事があると、一番上のお姉さんに相談するのが、この兄弟姉妹の慣わしであった。年末年始はこの一番上のお姉さん(以下、叔母とする)の家で、母の兄弟全員とその配偶者、子供たちが集まっていた。
ある日、私は叔母に突然烈火の如く怒られた。「お前は、家で全然お母さんの料理の手伝いをしないんだって?お前のお母さんがそう言っている。お母さんを助けるために手伝いくらいしたらどうなんだ?!」と。
私は、確かに家で料理の手伝いは一切したことがなかった。それは、私が手伝いをしたくないからではなくて、私は料理にとても興味があってやってみたいとは思っていたけれど、母が台所を他人に使われたくないから、私には一切手伝うことをさせなかった。そもそも母は結構料理上手で料理好きでもあったのだ。それに、こだわりの強い人は、他人に台所を使われたくない。子供に手伝いをさせて、後で尻拭いをする方がよほど面倒臭い。多分、そういうタイプだった。
実際、私は料理にとても興味あった。しかし、母の機嫌が悪くなることは徹底的に避けなければならないので、台所仕事に一切手出しすることはできなかった。これが事実であった。
だから、なぜ叔母に「お前はなんで料理の手伝いをしないのか!?」といきなり怒られて、天地がひっくり返ったように驚いた。
私は、叔母に対して何も言えなかった。「お母さんが手伝われるのが嫌いだから手出ししていないのだ」なんて、ショックのあまり言えなかった。
とにかく、ショックだし驚きしかなかった。とてもはっきり覚えている。
私は、「お母さん、私、叔母さんに身に覚えのないことでいきなり怒られたよ?」と思って、母の方を見た。私は、母に、助けを求めたのだった。母が「この子が料理を手伝わないのは、私が手伝わせていないからだ。この子のせいではない」と、叔母に対して弁解してくれると思ったのだ。
しかし、母は、私を見て ニヤッと笑ったのだ。それだけだった。
私は、一瞬で理解した。母が、一家のリーダーである母の姉の同情を買って私を陥れるために、嘘をついたのだ。「あの子は料理の手伝いなど一切しない。私は苦労してばかりだ。」と。しかも、何の脈絡もなく。母の気分がそういう気分になったのだろう。自分を労ってもらいたい、同情されたい、悲劇のヒロインは私、悪いのは子供。どうか、お姉さん、この出来の悪い子供を叱ってやって。と。
何ということだろうか。絶望とはこのことだ。母に裏切られた、とはっきりと感じた。
他にも色々あったけれど、母への感情が決定的になったのは、この一件と思う。若干10歳頃の出来事だ。
私は、それ以来、この出来事を頻繁に思い出すたびに絶望を味わってきた。
40歳を過ぎた今でさえ、思い出す頻度は減ってきた。けれど、若い時は頻繁に思い出してしまって、辛い日々だった。
母の虚言癖は、これだけではなかった。自分の地位を高めるために、息を吐くように嘘をつく。身内の贔屓話には、話を盛るために細かな嘘を織り交ぜる。
私、今までよく生きてきたと思う。
ちなみに、普通育ちの夫にこの話をしても、全く理解してもらえない。何のためにそんな嘘をつくのか、なぜ、子供に向かってニヤッとするのか、全くわからないそうだ。
普通の家庭育ちの子供と、機能不全家庭育ちの子供の精神構造は、天と地ほど違うのだろう。
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