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ケーキおばば

近所の散歩から帰ってくるとVがキャロットケーキを焼いていた。
前回のレシピはgreasyだったから、油の量を変えてみたとのこと。

ケーキが焼けるいい匂いが家中に漂っている。

こちら、おばば。
菓子作りが得意だったおばばは元気な頃はしょっちゅうお菓子を作っていたそう。
キッチンには今も分厚いおばば手作りのレシピ本があって、新聞記事や主婦コミュニティーなど方々からコレクションしたレシピは40年近く前のものがたくさんある。
アンティークとも言えるレシピノート、ページをめくるだけではらはらと紙繊維が四散するため、若冲翁の動植綵絵同じく、手袋はめて明かりは最低限にして、国宝級の扱いが必要かもしれぬ。

さておばば、ケーキの匂いに気づいた模様。
嗅覚は衰えていないのだろうか?
昼寝中のベッドからむっくり起きてわたしを手招き、beckoned me。

私:どうしたの?
おばば:あなたケーキ焼いたんでしょ?今日友達の家に行くのに、ケーキを持っていきたいから、売ってくれない?
私:ちゃんとおばばの分はとっておくから大丈夫よ。
おばば:Darling優しいのね、ありがとう。いくら払えばいいのかしら?
私:これおばばのレシピだから、お金はいらないよ。おばば監修ということで、味見だけしてくれればいいよ。
おばば:あらぁ、そうなの。何か必要なものがあれば、お金はあとで払うから買ってきてね。買い物はRがしてくれるわ。

おばば、今日も叔父とVをしっかり混同。

上記会話だけ見ると、認知症などないように思えるほど、しっかりした内容が展開している。
むしろ、modest、hamble、gentleでmoderateなご老人。

キャロットケーキは特徴のない味だった。
人参を荒くすりおろすのと、シナモン増やすのと、ちょっとだけ生姜をいれたらよさげで、レシピ練り直し。

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