【DX】食わず嫌いな住宅業界
メゾンVAVELをご覧いただき誠にありがとうございます。
住宅会社に人材育成や営業支援のコンサルティングを行っている私の元には様々な相談が寄せられます。
今回は、大手ビルダーの営業部長から『DXツールを導入しても、使いこなせるか分からない』との相談をいただきましたので、本記事では相談内容を基に、DX化のメリット・デメリットについて考えていきます。
よろしければ、102号室の相談内容も合わせてご覧ください。
今後は家が建てられなくなる?ー東京新聞
はじめに10月22日の東京新聞に興味深い記事があったので、簡単にご紹介したいと思います。
↓記事の要約↓
働き方改革による時間外労働の上限規制が2024年4月に迫っているが、すでに全国では建設業の倒産が相次いでいる。
帝国データバンクの8月の全国企業倒産集計によれば、1月~8月の建設業の倒産は1082件と6年ぶりに1000件を超えた。
さらに、9月までには昨年1年間の倒産数を上回り、過去5年で最多となる見通し。
主な要因は物価高の影響だが、職人の高齢化や若手人材の減少など、大工不足も背景にある。
国勢調査では、全国の大工は20年間で半数以下となっており、60歳以上が4割を占めている状態。
また、業務に不可欠な資格を持つ、建築士や施工管理者の離職も進んでいるという。
帝国データバンクの調査では、建設業の68.3%が"人手不足"を感じており、コロナ前の水準を上回る結果となった。
また、10月から始まったインボイス制度も高齢の大工に事務の負担をかけ、個人事業主の廃業に拍車をかけていると言える。
さらに、人手不足と結びついて深刻なのが労働災害の増加である。
昨年の建設業の労災死者数は281人と2年連続で増加し、今年に入ってからも様々な事故が発生している。
2025年の大阪・関西万博の建設現場でも、経験豊富な職人の不足。残業規制による作業の進行の低下。工期の圧迫による杜撰な作業。などが、さらなる事故へ繋がると懸念されている。
このように、建設業界は"労働規制""人材不足""資材高騰""インボイス制度"など、複数の課題に直面しています。
これらの課題を解決せずに放置していると、プロジェクトの遅延や品質の低下などが起こり、顧客満足度や従業員の勤務意欲の低下へと繋がる可能性があります。
食わず嫌いな住宅業界
DX(デジタルトランスフォーメーション)
この言葉は様々な場所で目にするようになりましたが、日本におけるDXは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を取りまとめたことを契機に広がり始めました。
各業界では、人手不足の解消や業務の効率化を目指してDXの導入が進んでいますが、個人的な感覚としては、住宅業界はDXに苦手意識があり、取り組みスピードは他業界と比べて遅い印象があります。
冒頭の記事のように、住宅業界が抱える様々な問題を考慮すると、業務効率化は不可欠であり、DX化を無視することはできないはずですが「費用がかかるから」「使いこなせるか分からないから」「今のところ業務に支障がないから」など、後ろ向きな言葉をよく耳にします。
なぜDXが必要なのか?
DXを導入する主な目的は『根本的な課題に対処し、変化する環境に適応する』ことです。
少子高齢化・資材の高騰・新規着工数の減少・人手不足など、これらの課題を打開するためには、蓄積された営業ノウハウや設計・施工・図面データ、顧客情報などを統合的に活用し、営業活動や共有情報、既存システムなどと結びつけてサービスを提供する必要があります。
特に、人材不足で悩んでいる企業ほど、データ駆動の意思決定や効率的な業務プロセスの確立を行い、生産性を向上させることが必要だと思います。
そして、この変革を通じて顧客のニーズに迅速に応じることが可能となれば、競争力を維持・向上させることが期待でき、企業の成長と持続可能な発展を実現することが可能となるでしょう。
住宅業界にDXが必要な理由 2選
住宅業界でDXの導入が不可欠な理由は、大きく2つあります。
1.原材料費の長期にわたる高騰
現在の日本では、木材や鉄の自給率が低く、国際情勢の変動が原材料の調達に大きな影響を与えます。
最近では、新型コロナウイルスの流行やウクライナ紛争による「ウッドショック」「アイアンショック」が記憶に新たらしいですが、これらが要因で原材料費は4割近く上昇し、実際に建築費用に大きく影響を与えています。
合わせて不動産価格も上昇しており、国土交通省の【不動産価格指数】では、過去5年間で〈土地・戸建て〉は約8〜12%上昇し、〈マンション〉に関しては約30%も上昇しています。
住宅業界は人件費や作業費を抑え、材料費の高騰に対処するバランス調整が求められています。
2.Webマーケティングの重要性の向上
現代ではインターネットやSNSを通じて豊富な情報が利用可能であり、住宅購入希望者も最初にオンラインで情報収集を行います。
国土交通省の【令和4年度 住宅市場動向調査の結果(近畿圏)】では、インターネットでの情報収集は、令和元年度の25.8%をピークに減少傾向となっていましたが、令和4年度は47.5%と前年の約3倍へと大幅に増加しています。
動画やウェブサイトを通じて情報を発信し、デジタルツールを活かした効果的なマーケティングを展開することが重要となります。
住宅業界がDXの導入するメリット 5選
総務省のデータによれば、2018年~2020年のDX取り組み状況は、全体で22.8%しかありません。
さらに、業種別では、建設業は20.7%、不動産業は23.3%となっています。
早急なDX推進が極めて重要とされている中で、これを実現することが可能となれば、住宅業界は変革と競争優位性を築くことが期待できます。
1.顧客満足度の向上
DXの導入によって、ビッグデータの分析やAIを活用した顧客分析が可能となれば、顧客ニーズを的確に把握することができるので、顧客満足度を向上させ、新規顧客の獲得に繋げることができます。
電子契約やVR内見などのデジタルツールの活用も迅速な顧客対応を可能にします。
2.人材不足の解消
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