ボロクソ言われてる「竜そば」だけど、そんなに駄作ですか?ー「竜とそばかすの姫」擁護派の感想
結局、自分を縛っているのって、
過去の出来事とかではなくて”自分自身”だよね
めっちゃアドラー心理学みたいな小見出しを付けてしまいましたが、
以下は「竜そば」(※竜とそばかすの姫)の要約です。
主人公である、ふつうの女子高生「鈴」は、小さい頃から母と一緒に楽しんでいた”歌”が大好き。
けれど、事故で母親を失ってしまい、その傷から歌えなくなってしまう。
「どうせわたしなんか…」と内向的で、「キラキラ系」になってしまった幼なじみとは、上手く話せない。
けれど、「U」というバーチャル空間で、鈴は新しい自分に生まれ変わる。
そしてバーチャル空間でなんやかんやあって(ネタばれになっちゃう!)、過去の傷を克服して、ふたたび歌えるようになる話。
もう、ひとりじゃない。
ポスターにもあるように、彼女は母を亡くしてから、ずっと孤独だった。
いや、”孤独だ”と思い込んでいた。
つくづく感じたことだけど、
孤独ってなるものではなくて、
自分自身で”思い込むことで、作ってしまうもの”なのかもしれない。
嫌な過去のできごとや、自分自身の悩みに囚われているときって、
つくづく自分のことしか見えていない。
本当は、周りの人が応援してくれたり、静かに見守ってくれていたりするはずなのに。
「お母さんはなんで、わたしを一人にすることより、知らない子どもの命を救うことを選んだの」
母が亡くなってから、ずっと孤独を感じていた鈴。
けれど彼女の周りには、口数はすくないけれど、見守ってくれる父親とか、
合唱団のおばさまたちとか、幼なじみの男の子とか。
たくさんの人が、鈴を気にかけてくれたはずだった。
ーーけれど、自分が自分に囚われている間は、
そんな周りの人の善意が見えなくなったりする。
孤独だとおもったときは、顔を上げてみよう。
周りの景色を見わたしてみよう。
そう思わせてくれる映画でした。
それにしても、こんなに素晴らしい主題があるのに、読み取りづらすぎる!
さんざん褒めてみたけど、言いたい点はやっぱりある。
まず、一つの映画に盛り込みすぎだということ。
正義がどうこうとか、思いを伝えるには仮面がどうこうとか、
一つひとつで見れば面白い話題ではあるけど、
盛り込みすぎて、とっ散らかっている。
もうちょっと主張したいテーマを減らして、竜とベルの展開を丁寧に書けば、もっとおもしろくなったと思う。
そして、いちばん言いたいことは、竜の問題はまったく解決されたわけではないこと。
自分の殻に閉じこもって孤独だった鈴が、そんな自分を解放して、あの子の孤独も救った、みたいな展開になっているけれど、
鈴の孤独は、自分自身の過去に囚われていたことが原因だけれど、
竜は全くそうではない。
竜の孤独は、自分に原因があるわけではなくて、
環境要因というか、竜の外側にある。
だから竜が戦ったからといって、解決される問題ではないから、
「戦ってみる」という竜の言葉には、違和感しかなかった。
…いや、戦っちゃダメでしょむしろ。
そういう違和感たちをのぞけば、細田守らしい、まっすぐな作品でした!
全体的にテーマを盛り込みすぎなので、整理するのに頭を使う必要はあるけれど、ちゃんと整理して、主題を受け止められれば面白い映画だとおもいます🍀
最後までよんでくださってありがとうございました!🌟