【実験・検証室】 007:PPによる色の変化
PP加工。
印刷物の表面に薄いPPフィルム(ポリプロピレンフィルム)を貼る仕上げ加工のことで、ラミネート加工の1種です。
例えばカタログ制作の際、表紙の質感を変えるなど印刷物の美しさを引き立たせることも期待できますし、特に表紙に濃色などを多用する場合には摩擦などによる印刷面の傷や色移りを防ぐなど、印刷面保護の目的で用いることが多いかと思います。
PP加工は、フィルムに接着剤を塗布し、刷本に熱圧着させます。
PPフィルムにはホログラムなど様々な種類がありますが、主に幅広い用途で使われるのは光沢のあるグロスPPと、マット感のあるマットPPです。
PP加工に関しては、“印刷でどんなに理想の色を表現してもPPを貼ると色が変わってしまう” という現象が起きる場合があり、しばしばクライアント・デザイナー・印刷会社を悩ませています。
印刷業界では、PPを貼ったら色が変わるということは周知の事実。
・濃度が5%~10%上がる
・全体的に赤くなる(もしくは青くなる)
などと言われています。しかし実際にその変化を見たことがない方には言葉で説明してもイメージしにくいかもしれません。
そこで。
検証
実際の印刷物にPPを貼ることによってどのくらいの色の変化が起こるの?
検証スタート
印刷会社としての経験上、人物の肌の色・髪の色、背景色や食品の色など、PPによる色の変化で頭を悩ませたことのある画像の傾向を模索し、当てはまる画像を選定。最終的な画像選定のテスト印刷をしました。
テスト印刷データはこちら
皆様にお届けする実際の検証資料は、テスト印刷をした画像の中でPPによる色の変化が大きかったものの中から1つを選択。
こちらに決定しました。
印刷結果
印刷・加工しました。
【コート紙+グロスPP】の方は、全体的に5%ほど濃度が上がっているように見えます。特にハイライト部分のCとMが強調されているため、若干暗くなった印象になっています。
【マット紙+マットPP】の方も同様、こちらも全体的に5%ほど濃度が上がっているように見えます。さらにマットPPの性質上、光の乱反射が抑えられ光沢感が少なくなっているため、全体的にメリハリがなくなった印象になっています。
ハイライト部分のCが強調されているため肌の色など明るい部分が青黒くなっているのがわかります。
是非実際の検証物をご覧になってください。
PP加工を施すことで起こる色の変化。
この現象と傾向を把握することで、思い通りの仕上がりに。