【実験・検証室】 005:白の階調
「印刷で白色を表現する」には、どのように印刷すると思いますか?
「白だから、白色のインキで刷るんでしょ?」
…答えは「正解だけど、それだけではない」 …です。
印刷で使用する紙は白色が多いのですが、その場合に白を表現するときは主に紙色を生かします。つまり「インキが乗っていないので、紙色の白がそのまま見えている状態」ということです。
色上質紙やクラフト紙など、色がついている紙で白を表現する場合は、白色のインキで印刷をすることになります。
それでは、透明なインキの場合はどうでしょうか?
白い紙に透明のインキで刷ると、そこは白になると想像できます。
しかし、透明なインキの中でも透かしインキで印刷すると、前回までにご紹介した通り透けた印象になりました。これを白と言うかは個人の感覚の違いになりますが「白らしい白」とは言えないかもしれません。
前置きが長くなりましたが…
透かし印刷のご依頼をいただいたお客様から
「同じ透明なインキなら、ニスやメジウムでも透かしインキのように透けるんじゃないかな?」という声をいただきました。
「いろんな種類の透明なインキでその見た目の違いを見てみたいです!」と。
…こうなったらまとめて印刷してみるしかありません。
検証
白インキや様々な透明のインキで表現する「白色」にはどのくらい見た目の違いがあるの?いろんな階調の白を見てみよう。
検証スタート
検証物は以下のデータを使用。
グレー版:白インキ / シアン版:グロスニス / マゼンタ版:透かしインキ / イエロー版:透かしインキ(2胴目) / グリーン版:メジウム / スミ版:グレーインキ(文字のみ)で印刷されます。
各々、20%/40%/60%/80%/100%のチャートと、面積を少し広げたベタで印刷(透かしインキは1度刷りと2度刷り両方で検証)。
ちなみに、データのアウトラインはこのようになっています。
こちらは台紙としてご用意しています。
印刷結果
印刷しました。
写真ではわかりにくいですが、白インキが印刷されている箇所は突出して「白らしい白」が出ているのがわかります。
透かしインキは前出通り、透け感があるので背景の色に左右されやすく、「白」という表現とは違うように思います。
また、ニスとメジウムは透明インキには遠く及ばないものの若干の透け感が出たため、「白らしい白」という表現には当てはまらないように思います。
こちらは是非、実際の検証物をご覧になってください。
補足事項
透かしインキを使用する際は下記のことにご注意ください。
意外と見たことのなかった白インキと各種透明インキでの白の表現比較。白・透明にはまだまだ可能性が秘められているはず。
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