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【実験・検証室】 008:PP×パウダーレスインキ

前回の007では、PP加工時に印刷物の “色が変化してしまう” 現象をご紹介しましたが、PP加工に関するお客様のお悩みは実は他にも寄せられています。

「PPを貼った表紙がなんだか汚い」
「PPを貼った部分の絵柄がモヤモヤしてる」

PPの圧着不良?と思えるこの現象。
もしかしたら印刷時のアレが原因かもしれません。

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PPを貼る前の印刷工程、印刷機から印刷物が排紙される部分で「プシュッ」と何かを印刷物に吹き付けています。これは、オフセット印刷の工程では必要不可欠とされる “パウダー(スプレーパウダー)” です。

スプレーパウダーとは?

オフセット油性印刷では印刷した用紙が重ねて積まれていきますが、そのまま積み重ねていくとインキが前後の用紙に付いてしまうなどのトラブルの原因となります。それらのトラブルを防ぐために、印刷紙面に撒くのがスプレーパウダーです。スプレーパウダーは微細な粉で、その主成分はとうもろこし・じゃがいも・小麦粉などからできるでんぷんです。
印刷物が重なる前にパウダーを撒き紙と紙の間に隙間を作ることによって、ブロッキングや裏移りなどを防いでいます。
ちなみにスプレーパウダーの粒子の大きさは様々で、10μ~50μ程度です。


実はとても繊細なオフセット印刷。

品質を保つためには印刷機内の多くの工程で細かな調整が必要です。
そんな中でスプレーパウダーは異物であり、印刷工程においても印刷不良を招く原因となることがあります。

そしてPP加工をする場合も、印刷用紙とPPの間に異物が付着しているためPPが綺麗に圧着しにくいのです。(もちろんパウダーを払う作業はしますが、完全には落としきることはできません。)

そういうわけで、印刷工程でも加工工程でも、スプレーパウダーは可能であれば使いたくないのです。

オフセット油性印刷でパウダーは裏付き防止のためには必須というけれど
パウダーを使わずに印刷することはできないの?
…その解決策、実はあるんです。


検証

パウダーを使わなくてもオフセット油性印刷はできる!
パウダーレスインキを使って印刷をし、パウダーを撒かないパウダーレスの印刷物と、パウダーを撒いた従来の印刷物で、PP加工の仕上がりを比較してみよう。


検証スタート

検証物

前回007の前段階での画像選定テスト印刷から、パウダーによるPPの影響が 見えやすい画像を選定しました。

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こちらに決定しました。

実際にパウダーレスインキで印刷をし、パウダーを撒いた印刷物とパウダーを撒いていない印刷物を作成。それぞれにPP加工を施し仕上がりの違いを確認します。

用 紙 : OKトップコート+(135kg)
      OKトップコートマットN(135kg)
インキ : オフセット用パウダーレスインキ
色 数 : 4色(CMYK)
加 工 : PP加工(コート紙にはグロスPPで、マット紙にはマットPPで加工をします)


印刷結果

印刷・加工しました。
パウダーを撒いた通常の印刷物とパウダーを撒いていない印刷物にPPを貼ったものを並べてみます。

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左(パウダーあり)はグラス部分のムラが目立ちます(個体差あり)。

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左(パウダーあり)は下部の背景・商品部分のムラが目立ちます(個体差あり)。

実際の検証物でも見ていただきたいのですが、
パウダーありの方はPP加工の仕上がりがムラになって綺麗ではないのに対して、パウダーなしの方はPPが綺麗に圧着してムラがありません

特にマットコート紙+マットPPの方がその影響が顕著に見られます。
​上質なイメージをもったパッケージなどに多用されるマットPP仕上げには綺麗な仕上がりを求めらることが多いですよね。オフセット油性印刷+PP加工の際に仕上がりには特にこだわりたい!という場合には、このパウダーレス印刷は有効です。

印刷検証資料は、お問い合わせフォームよりお気軽にお申し付けください。


008_bottom のコピー


パウダーレス印刷、という選択。
仕上がりにこだわるPP加工に、ムラのない上質な仕上がりを。


検証物のサンプルは資料請求フォームよりお問い合わせください
(無償でご提供しています)



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