空をゆく。の第百七十一首
第百七十一首
遠つ人雁金のゆく秋空を
見送るままに立つ道の端に
─── 音無桜花
2024.08.20.
鳥の群れが逆∨字型の列を組んで飛んでいきます。
私の住む地域は水鳥が多く、その姿をよく見かけます。梅雨が明けて餌の魚が豊富になってくると、三々五々に餌場の川や田んぼに来たり、飛び去って行ったりします。
鴨などの小型の水鳥も多くいます。
最近、隊列を組んで飛んでいく群れを見かけるようになりました。
渡りが始まる時期なのか、餌場への移動の途中なのかはわかりませんが、これから初冬にかけて雁行する群れを見かける時期になります。
飛影の大きさからも、地理的にも雁の群れではないようですが、しっかりとᐯ字になって飛び去って行きます。
雁行する群れを見ると、足を止めて美しさに見入ってしまいます。
そして自分が置いていかれるような寂寥感にとらわれてしまいます。
遠つ人は雁・雁金の枕詞。
私が見かけた鳥達が、何処で越冬するのかはわからないのですが、「行くもの」と「見送るもの」の距離と心情の対比を意識した一首としました。