銭湯礼讃
銭湯に一緒に出かけて、
男女別のお風呂に入って、
君の名前を呼ぶ
その声は男女の浴場の壁を越えて響き
君にも聞こえたはずなのに
なんの返事もない
けれど、大丈夫
それでいいんだ
僕には君の感じる気恥ずかしさが伝わってくる
こういう時返事をするような人じゃないから
「ばか」と後で叱られるんだ
目には見えなくても、
愛しい存在がそこにいることが確かに分かる
不思議な感覚
ここに、私は、いるよ
ここに、私は、いるよ
僕の風呂は長いから
いつも君は2階の休憩場で待っている
階段を上がると、ソファに座る君がいる
気持ちよさそうに、ジュースを飲む君がいる
僕は隣に座って、缶ビールを飲む
なんの話をするでもない時間
忙しない毎日にポカンと空いた隙間が
埋まっていく
銭湯があって良かった
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