メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第205号 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 35「鍼灸法」(雜病篇・寒(下)・鍼灸法)
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第205号
○ 新企画 ─「よもぎ」のテーマ読み ─ 35
「鍼灸法」(雜病篇・寒(下)・鍼灸法)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。前号に引き続き「寒」の「鍼灸法」灸部分の続きです。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「鍼灸法」 p409 上段・雜病篇・寒(下)・鍼灸法)
鍼灸法
又法陰證已極玉莖
縮入速令人捉定急將艾緑丸豆大放在陰莖口
上灸三壯其莖即出回春
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
又法、陰證已極、玉莖縮入、速令人捉定、
急將艾緑丸豆大、放在陰莖口上、灸三壯、
其莖即出。『回春』
●語法・語(字)釈●(主要な、または難解な語(字)句の用法・意味)
特になし
▲訓読▲(読み下し)
又(また)法(ほう)、陰證(いんしょう)
已(すで)に極(きわま)り、
玉莖(ぎょくけい)縮(ちぢま)り入(い)るに、
速(すみかか)に人(ひと)をして捉定(そくてい)せしめ、
急(いそ)ぎ艾(がい)を將(と)りて
緑豆(りょくどう)の大(だい)に丸(まる)め、
陰莖口上(いんけいこうじょう)に放(お)きて在(あ)り、
灸(きゅう)すること三壯(さんそう)、
其(そ)の莖(けい)即(すなは)ち出(い)ず。『回春(かいしゅん)』
■現代語訳■
また一つの方法として、陰証が極り盡し、陰茎が陥没した者には、
速やかに他の者に持たせつつ、急ぎもぐさを緑豆の大きさに丸め、
陰莖口上に据え、三壮を灸すれば、その陰茎は即座に出てくる。『回春』
★ 解説★
「寒」章の灸登場部分、前号に続く12番めの項目です。
しばらく陰証の流れが続いており、ここでは陰証が極まって陰茎が引き込んでしまった症状への対処法が説かれています。
これなどは単に引っ込んでしまったからその引っ込んだ部分にお灸をしよう、という単純な発想とその効果に見えますが、単にそれだけではない深い部分での機序と効果があるように思います。
よく鍼やお灸の効果の遠隔性を言い、患部から離れた部位に施術して効かせるということですが、では患部に直接したらいけないのか、利かないのか、低級な方法なのか、というとそうでもない、場合によっては即効性があり、また単に患部だから直接やりました、効きました、という表面的ではない奥の意味もある方法もあり得るように思い、これなどもその範疇に入る方法ではと感じます。
◆ 編集後記
「寒」から今号も文章一つでお届けしました。こんな短く単純な記述でも奥にある背景は深いと思い、お灸の明快さと奥深さの両端を表しているような記述と思います。
(2017.02.18.第205号)
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