メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第288号 單方「枸杞」「茯苓」(内景篇・身形)

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


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  第288号

    ○ 單方「枸杞」「茯苓」(内景篇・身形)

        ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説
      ◆ 編集後記


           

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 こんにちは。単方の続き「枸杞」と「茯苓」です。
 

 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (單方「枸杞」「茯苓」 p80 上段・内景篇・身形)


 枸杞

   久服輕身不老耐寒暑令人長壽枸杞當用莖
          皮地骨當用根皮枸杞子當用其紅實子及葉
       同功根莖葉子皆可服嫩葉作羹作〓可常服皮
            (〓くさかんむり齋の上、韮の下)
  及子作末蜜丸常服亦可酒浸服〇金髓煎取紅
  熟枸杞子酒浸兩月漉出研爛以布濾去滓取汁
  並前浸藥酒於銀石器内熬成膏毎日温酒下二
  大匙日二次久
  服可以羽化本草


茯苓

   久服不飢延年却老取白茯苓合白菊花或合
   白朮丸散任意皆可常服又法白茯苓去皮酒
  浸十五日漉出搗爲末毎服三錢水
  下日三久服延年耐老面若童顔本草


 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)


 枸杞

  久服、輕身、不老、耐寒暑、令人長壽。枸杞當用莖皮、

  地骨當用根皮、枸杞子當用其紅實子、及葉同功、

  根莖葉子皆可服。嫩葉、

  作羹作〓(くさかんむり齋の上、韮の下)可常服。

  皮及子、作末蜜丸、常服亦可、酒浸服。

  金髓煎、取紅熟枸杞子、酒浸兩月、漉出、研爛、

  以布濾去滓、取汁、並前浸藥酒、於銀石器内、

  熬成膏。毎日温酒下、二大匙、日二次。

  久服可以羽化。本草。


茯苓

  久服、不飢、延年、却老。取白茯苓、合白菊花、

  或合白朮、丸散任意、皆可常服。又法、白茯苓去皮、

  酒浸十五日、漉出搗爲末、毎服三錢、水下日三。

  久服、延年、耐老、面若童顔。本草。


 ●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)

 ■現代語訳■


 枸杞

  長期間服用すれば、身体が軽く、不老になり、

  寒暑に耐え、人を長寿にする。

  枸杞は莖皮を用いるべきで、

  地骨は根皮を用いるべきである。

  枸杞子は赤い実を用いるべきで、

  葉も効用が同様で、根、莖、葉、実、全てを服用できる。

  若葉は吸い物やなますにして摂取することもできる。

  皮及び実は蜜丸として常に服用でき、酒に浸して服用する。

  金髓煎は赤く熟した枸杞子を、二か月酒に浸し、

  漉して取り出し、磨り潰す。

  布で濾して滓を除去し、汁を取って前の酒に再び浸し、

  銀や石器で熟成させて膏を作る。

  毎日温酒で大匙二杯を、日に二度服用する。

  長く服用すれば神仙となることができる。『本草』


茯苓

  長期間服用すれば、飢えず、寿命を延ばし、若返る。

  白茯苓を採集し、白菊花または白朮に混ぜ、

  丸薬か散薬どちらでも服用することができる。

  他の方法として、白茯苓の皮を除去し、

  酒に十五日浸し、漉し出し、搗いて粉末にする。

  毎服三銭を水で日に三度服用する。

  長期間服用すれば寿命を延ばし、老いなくなり、

  顔面を若く童顔にする。『本草』
  

 ★ 解説 ★

 単方の「枸杞」と「茯苓」です。

 ここしばらく似たような効用の列挙が続いていますが、これはこの章の性質を考慮すると当然と言えば当然で、まず病気を治すことの前に健康で若く、寿命を延ばすという点がテーマになっていることがわかります。

 このメルマガでは何度か様々な切り口、テーマでこの東医宝鑑を読み解いて来ましたが、東医宝鑑自体が掲げるテーマを個々の部分または全体から読み解いてみたり、或いは大きな森のようなこの著述から、自分なりにテーマを探して読み解いてみるのもまた良いのではと思います。

 もしかしたら編者さん方も思いつかなかったような新しいテーマ、新しい治療法がその中から生まれてこないとも限りません。


 ◆ 編集後記

 単方の「枸杞」と「茯苓」です。順調に一号二つの配信で、既に半分以上を読み終わり、単方があと九つの生薬を残すところとなりました。

 その後には非常に長文の「神枕法」という記事があるのですが実はこの部分は既に以前の特集号で読んでおり、後は比較的短い記事、他にこの章特有の附録「養老」の項目が七つほどありそれでこの章をようやく読み終わることになります。

 以前にも書いたように現在は書籍や電子データでの発行が容易になっており、東医宝鑑全体の読了を待たずに章ごとに頒布することも可能で、各章が完了した時点での頒布も期しています。メルマガと共にそちらもお楽しみにいただけたら幸いです。
                     (2018.10.20.第288号)
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