メルマガ『医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第362号「白龍丸」(内景篇・精)
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第362号
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◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。「白淫」に挙げられた処方の「白龍丸」です。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「白龍丸」p85 上段・内景篇・精)
白龍丸
治虚勞腎損白淫滑泄鹿角霜牡蠣煆各二
兩龍骨生一兩右爲末酒麪糊和丸梧子大
空心温酒鹽湯下三五十丸不惟
治遺精且能固精壯陽神效醫鑑
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
白龍丸
治虚勞腎損、白淫滑泄。鹿角霜、牡蠣煆各二兩、
龍骨生一兩。右爲末、酒麪糊和丸梧子大、空心、温酒、
鹽湯下三五十丸。不惟治遺精、且能固精壯陽、神效。醫鑑。
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
▲訓読▲(読み下し)
白龍丸(はくりゅうがん)
虚勞腎損(きょろうじんそん)し、
白淫滑泄(はくいんかつせつ)するを治(ち)す。
鹿角霜(ろっかくそう)、牡蠣(ぼれい)煆(や)き
各(をのをの)二兩(にりょう)、
龍骨(りゅうこつ)生(なま)にて一兩(いちりょう)。
右(みぎ)末(まつ)と爲(な)し、酒麪糊(しゅめんこ)に
和(わ)して梧子(ごし)の大(おほひ)さに丸(まる)め、
空心(くうしん)に、温酒(おんしゅ)、鹽湯(しおゆ)にて
三五十丸(さんごじゅうがん)を下(くだ)す。
惟(ただ)遺精(いせい)を治(ち)するのみならず、
且(かつ)能(よ)く精(せい)を固(かた)ふし
陽(よう)を壯(そう)にして、神效(しんこう)あり。
醫鑑(いかん)。
■現代語訳■
白龍丸
虚勞で腎損し、白淫や滑泄する者を治する。
鹿角霜、牡蠣(煆)各二両、龍骨(生)一両。
以上を粉末にし、酒を入れた麺糊に混ぜて青桐の種の大きさに丸め、
空腹時に温酒または塩湯三十から五十丸を服用する。
遺精を治するのみならず、よく固精壮陽するに神效がある。
『医鑑』
★ 解説 ★
「白淫」の具体的処方の最後「白龍丸」です。こちらは「虚勞腎損白淫滑泄」と前と違った条件が付されています。
先行訳について、この「虚勞腎損白淫滑泄」を「虚勞・腎損・白淫・滑泄に効く。」と4つに分けています。これが妥当であるかどうかの考察もよい勉強と思い、志ある方はこの訳の可否をご考察くださればと思います。
また、最後の「不惟治遺精、且能固精壯陽、神效」の部分を丸々省略しています。これは内容吟味以前の問題で、正当な翻訳態度から見たら明らかに
「否」と言える所業ではと思います。先行訳をお持ちの方は、この部分を補足してくださればと思います。
◆ 編集後記
「白淫」の処方「白龍丸」です。これでこの項目を読み終わりました。
次は項目「濕痰滲爲遺精」に入ります。ゆっくりの進行ですが、この章の終わりもだんだん見えてきたようです。ただ、配信は処方や単方ひとつか二つずつしか記載できませんので、配信としてはまだしばらくかかりますね。
(2020.04.19.第362号)
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