メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第287号 單方「槐實」「柏葉」(内景篇・身形)

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆


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  第287号

    ○ 單方「槐實」「柏葉」(内景篇・身形)

        ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説
      ◆ 編集後記


           

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 こんにちは。単方の続き「槐實」と「柏葉」です。
 

 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)


 (單方「槐實」「柏葉」 p80 上段・内景篇・身形)


 槐實

   久服明目黒鬚髮延年槐者虚星之精十月上
   巳日採子服之去百病長生本草〇槐膽丸明目
  黒髮固齒延年十月上巳日採槐實納陶缸中封
  口鹽泥固濟埋背陰墻下掘三尺土中至臘月初
  八日取出去皮取黒子裝在牛膽内高懸陰乾至
  次年清明日取出毎日空心白湯呑下一粒二日
  二粒漸加至十五粒以後
  毎日減一粒周而復始入門


柏葉

   久服除百病延年益壽取葉陰乾爲末蜜丸小
   豆大酒下八十一丸服一年延十年命二年延
  二十年命忌食雜肉五辛本草〇柏葉茶取東向柏
  葉置甑中飯上蒸之以水淋數過陰乾毎日煎服
  入門

 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)


 槐實

  久服、明目、黒鬚髮、延年。槐者、虚星之精、

  十月上巳日、採子服之。去百病長生。本草。

  槐膽丸、明目、黒髮、固齒、延年。

  十月上巳日、採槐實、納陶缸中、封口鹽泥固濟、

  埋背陰墻下、掘三尺土中、至臘月初八日取出、

  去皮、取黒子裝在牛膽内、高懸陰乾、

  至次年清明日取出、毎日、空心、白湯呑下一粒、

  二日二粒、漸加至十五粒、以後毎日減一粒、

  周而復始。入門。


柏葉

  久服、除百病、延年益壽。取葉陰乾爲末、

  蜜丸小豆大、酒下八十一丸。服一年延十年命、

  二年、延二十年命。忌食雜肉、五辛。本草。

  柏葉茶、取東向柏葉、置甑中飯上蒸之、

  以水淋數過、陰乾、毎日煎服。入門。


 ●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)


 虚星 ※「槐は虚星の精、昼合して夜開く、故に其の字鬼に従う。」
     (五雑俎巻10)

 雜肉(雑肉)主な食用である牛肉・豚肉・鳥肉以外の獣肉。
       熊肉、馬肉など。

 五辛 仏教で食べることを禁じられていた5つの辛みのある野菜。
    にら、ねぎ、にんにく、らっきょう、
    はじかみ (しょうが,さんしょう)の5。


 ■現代語訳■


 槐實

  長期間服用すれば、目が良く見え、鬚髮を黒くし、

  寿命を延ばす。槐(エンジュ)は虚星の精であり、

  十月上旬の巳の日に種子を採集して服用すれば、

  百病を除去し長生できる。『本草』


  槐膽丸、視力を良くし、髮を黒く、

  歯を強くし、寿命を延ばす。

  十月上旬の巳の日に槐の実を採り、陶器の瓶に入れ、

  口を塩を混ぜた泥で固く封じる。

  これを日陰のある塀の下に三尺土を掘って埋め、

  十二月八日に取り出す。

  皮を剥き、黒い種子を牛膽の内に入れ、高所に陰乾する。

  翌年の清明の日に取り出し、

  毎日空腹時に白湯で一粒服用する。

  二日目は二粒服用し、日々十五粒まで増やし、

  以後は毎日一粒ずつ減らし、一巡したら同様に

  繰り返す。『入門』


柏葉

  長期間服用すれば百病を除き、寿命を延ばす。

  葉を採って陰乾して粉末にし、

  蜜を混ぜて小豆大に丸める。八十一丸を酒で服用する。

  一年服用すれば十年寿命を延ばし、二年で二十年寿命を延ばす。

  雑肉や五辛を避ける『本草』


  柏葉茶、東に向いた柏葉を採り、甑(こしき)で

  飯を蒸す際に上に置き、水で数度濯いでから陰乾し、

  毎日煎じて服用する。『入門』
  

 ★ 解説 ★

 単方の「槐實」と「柏葉」です。どちらも効用はこれまでと同様、さらにそれにそれぞれのバリエーションを加えています。
 
 細かく読むと読みどころたくさんなのですが、簡単な語釈と翻訳をお届けするにとどめ、さらなる読み深めは読者さまにお任せしたいと思います。

 
 久しぶりに訓読なしてお届けしました。前号の編集後記で訓読は続けるつもりと書いたのですが、再考して実験的に省いてみました。

 これも前号で書いたように、執筆のどこに一番手間と時間を取られるかというと、訓読の欄なのですね。訓読は読解の一手順にはなりますが、翻訳に直結する情報としては少し薄いのですね。内容の理解が半分でも機械的に訓読をつけることが可能な点も多いからです。

 ですので訓読にかける手間と時間を、語釈や他の解説に回して内容理解に資する情報のご提供を心がけようかと考えています。
 

 ◆ 編集後記

 単方の「槐實」と「柏葉」です。上のように実験的に訓読を省いてみました。やはり訓読部分を書かないとかなり時間の省略ができ、その分の労力を解説や語釈欄を書く力に代えていこうと考えています。

 どうしても訓読が必要な読者さまがいらっしゃれば、その旨リクエストいただきましたら、復活もあり得ますのでお気軽にご意見お寄せくだされば幸いです。
 
 なお、配信のシステムが便利にできており、配信されたメルマガに直接返信すると、発行者のもとにメールが届くという仕組みになっており、お届けしたメルマガに返信してリクエスト、ご意見をお寄せいただけましたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
                     (2018.10.13.第287号)
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