メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第321号「遺泄精屬心」(内景篇・精)2
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第321号
○ 「遺泄精屬心」(内景篇・精)2
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。「遺泄精屬心」の続きにして最後の部分です。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「遺泄精屬心」p83 上段・内景篇・精)
精之主宰
在心精之藏制在腎心腎氣虚不能管攝因小便
而出者曰尿精因見聞而出者曰漏精直指〇初因
君火不寧久則相火擅權精元一於走而不固甚
則夜失連連日亦滑流不已
宜服坎〓丸黄連清心飮入門(〓離の左)
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
精之主宰在心、精之藏制在腎。心腎氣虚不能管攝、
因小便而出者曰尿精、因見聞而出者曰漏精。直指。
初因君火不寧、久則相火擅權、精元一於走而不固、
甚則夜失連連、日亦滑流不已、
宜服坎〓(離の左)丸黄連清心飮。入門。
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
▲訓読▲(読み下し)
精(せい)の主宰(しゅさい)は心(しん)に在(あ)り、
精(せい)の藏制(ぞうせい)は腎(じん)に在(あ)り。
心腎(しんじん)の氣虚(ききょ)して
管攝(かんせつ)すること能(あたは)ず、
小便(しょうべん)に因(より)て出(いづ)る者(もの)を
尿精(にょうせい)と曰(い)ひ、
見聞(けんぶん)に因(より)て出(いづ)る者(もの)を
漏精(ろうせい)と曰(い)ふ。直指(じきし)。
初(はじ)め君火(くんか)寧(やす)からざるに因(より)て、
久(ひさし)きときは則(すなは)ち相火(そうか)
權(けん)を擅(ほしいまま)にして、
精元(せいげん)走(はし)るに
一(もっぱら)にして固(かた)からず、
甚(はなはだ)しきときは則(すなは)ち
夜失(やしつ)連連(れんれん)として、
日(ひ)もまた滑流(かつりゅう)して已(や)まず、
宜(よろし)く坎〓(離の左)丸(かんりがん)
黄連清心飮(おうれんせいしんいん)を服(ふく)すべし。
入門(にゅうもん)。
■現代語訳■
精を主宰するのは心であり、精を蔵し制するのは腎である。
心と腎とが気虚して統括することができず、
小便と共に漏れる場合を尿精と呼び、
物事を見聞きした場合に漏れる場合を漏精と呼ぶ。『直指』
初期には君火が安寧でないことに起因し、
長期にわたるときは相火までが権勢を振るうようになり、
精元がひたすら漏れるようになって堅固ならず、
甚だしい場合は、夜に絶え間なく漏れ、
昼にもまた流れ出でて止まらなくなる。
このような者は坎〓(離の左)丸、
黄連清心飲を服用するとよい。『入門』
★ 解説 ★
「遺泄精屬心」の続きにして残りの2段、これでこの項目は最後です。
前節と似たような内容、また前節を受けて展開したような内容で語られています。そして最後に服用すべき処方が語られています。
このように状態の説明に対して、具体的な対応策、対応処方が用意されているのが、他の分野にない、医学文献の特徴と思います。
先行訳については、前号で書きましたが、前号部分と今号部分、この項目全てを含めて、前号で引用した文章のみが翻訳されています。つまり、表題も含めて再録しますと、
精の遺泄
腎は閉臓を防ぎ、肝は踈泄を防ぐ。
たったこれだけです。今号からご登録の方もいらっしゃるかもしれず、改めて前号と今号、この項目の文の全体を、翻訳のみを繋げて掲載してみます。
精の遺泄は心(しん)に属する
丹溪が説くには、閉蔵を主る臓腑は腎であり、
疏泄を司る臓腑は肝である。
これら二つの臓には共に相火があるが、その流通は
上部で心に連系する。
心は君火であり、刺激に感応して動きやすい。
心が動けば相火もまた動く。相火が動けば精は自ずから流れだす。
相火が一斉に熾れば、交接せずとも図らず流れて疏泄してしまう。
聖人がただ人に心を収め、心を養うことを説く所以であり、
その趣旨は精妙なのである。
精を主宰するのは心であり、精を蔵し制するのは腎である。
心と腎とが気虚して統括することができず、
小便と共に漏れる場合を尿精と呼び、
物事を見聞きした場合に漏れる場合を漏精と呼ぶ。『直指』
初期には君火が安寧でないことに起因し、
長期にわたるときは相火までが権勢を振るうようになり、
精元がひたすら漏れるようになって堅固ならず、
甚だしい場合は、夜に絶え間なく漏れ、
昼にもまた流れ出でて止まらなくなる。
このような者は坎〓(離の左)丸、
黄連清心飲を服用するとよい。『入門』
先行訳でどれだけの省略がなされているのか、この項目だけでもよくわかりますね。先行訳では編者さんがこの項目に込めた全ての条件を全く逸脱してしまっていることがわかります。先行訳をお持ちの方は原文、またこのメルマガをご参考に、補充してお読みくださればと思います。
◆ 編集後記
「遺泄精屬心」の最後です。次は今号で挙げられた処方が具体的に説かれることになります。
(2019.06.16.第321号)
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