メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第98号「井華水」(夜明けに初めに汲んだ井戸水)2
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第98号
○ 「井華水」(夜明けに初めに汲んだ井戸水)2
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
◆ 次号の原文
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こんにちは。水の項目の筆頭「井華水」の続きです。これで「井華水」解説
は終りです。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「井華水」 p678 下段・湯液篇 巻一)
井華水者天
一真精之氣浮結于水面故可取以烹煎補陰之
劑及修煉還丹之用今好清之士毎日取以烹春
茗而謂清利頭目最佳其性味同於雪水也正傳○
井華水服藥煉藥並用
之投酒醋令不腐本草
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
井華水者、天一真精之氣、浮結于水面、
故可取以烹煎補陰之劑、及修煉還丹之用。
今好清之士、毎日取以烹春茗、
而謂清利頭目最佳。其性味同於雪水也。『正傳』
井華水、服藥煉藥並用之、投酒醋、令不腐。『本草』
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
語釈
春茗(しゅんめい)茗=茶。初春摘みの茶
▲訓読▲(読み下し)
井華水は、天一真精の氣、水面に浮結す、
故に取りて以て補陰の劑を烹煎し、
及び還丹を修煉するの用とすべし。
今好清の士、毎日取りて以て春茗を烹て、
謂う、頭目を清利して最も佳しと。
その性味雪水に同じきなり。『正傳』
井華水、服藥煉藥並びにこれを用ゆ、
酒醋に投じて、腐らざらしむ。『本草』
■現代語訳■
井華水は、天一真精の気が水面に浮結しているゆえに、
補陰剤を烹煎し、また還丹を修煉するにも適用である。
好清の士は、毎日この水で春摘みの茶を煎じれば、
目と頭を清利して最も良いとされる。
その性味は雪水と同じである。『正傳』
井華水は服薬と煉薬用、共に良く、
酒や醋に混ぜれば腐食を防ぐことができる。『本草』
★解説★
水の筆頭「井華水」の続きの部分です。これで「井華水」項目は終りです。
全体の趣旨と流れがわかりやすいように、前号部分と並べて「井華水」の全
体を記載してみます。
井華水(夜明けに初めに汲んだ井戸水)
性平、味甘、無毒。
人が大いに驚き、九竅より出血するものを治す。
また、口臭によく、顔色を良くし、
膚翳の洗眼に、また飲酒後に熱痢を生じた者を治す。
これは夜明けに井戸から初めに汲んだ水である。『本草』
井華水は、天一真精の気が水面に凝集しているゆえに、
補陰剤を煎じるにも、また還丹を修煉するにも最適である。
日々清澄に過ごしたい者は、毎日この水で春摘みの茶を煎じれば、
目と頭を清明にするのに最上とされる。
その性味は雪水と同じである。『正傳』
井華水は服薬と煉薬用、共に良く、
酒や醋に混ぜれば腐食を防ぐことができる。『本草』
性質と効用、用途などがうまく説かれていることがわかります。
還丹や煉薬などいわゆる外丹、錬金術にもよいという部分を引用していると
ころなど、前に冒頭部分の道教色の強い文を読んだように、この東医宝鑑の
一側面を良く現しているように思います。
内容は現代語訳をお読みくだされば特に解説の必要はないでしょう。
というより逆に細かい部分を検討したら文面がいくらあっても足りないよう
な深い用語を含んでいる文でもありますね。たとえば「天一真精の気」など
そのままにしてありますが、なぜここで「天一」なのか「一」なのか、など
易学の広大な要素を背負った記述です。
また東洋医学の用語として「補陰剤」などここだけではわかりにくい部分も
ありますが、やはり他の部分の読解を期して深く触れないことにいたします。
これで「井華水」解説は終りです。水の項目は全部で三十三あり、あと三十
二もの水が残っていることになります。(もちろん東医宝鑑では、というこ
とで、この三十三が東洋医学の水の全てではありません)
他の水との比較の中で、また項目の配列順などからも、この井華水また他の
個々の水においてもそれぞれの個性が際立つこともあるでしょうから、細か
い点をある程度端折りながら、どんどん先を読み進めたいと思います。
◆ 次号の原文(次号の予習文)
寒泉水
即好井水也性平味甘無毒主消渇反
胃熱痢熱淋兼洗漆瘡利大小便本草○其井水
新汲未入缸瓮者爲新汲水取其清潔無混雜之
氣故用以煎煮藥劑也正傳○能解合口椒毒下魚
〓(魚更)
本草
(2014.11.06.第98号)
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
発行者 東医宝鑑.com touyihoukan@gmail.com
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