メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第327号「夢泄屬心」(内景篇・精)4

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆

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  第327号

    ○ 「夢泄屬心」(内景篇・精)

         ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説

      ◆ 編集後記

           

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 こんにちは。「夢泄屬心」の三段、四段を一気に読んでしまいます。
 

 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)

 (「夢泄屬心」p83 上段・内景篇・精)

                   夢遺全屬心盖交感之精雖常有一點
  白膜裹藏於腎而元精以爲此精之本者實在乎
  心日有所思夜夢而失之矣宜黄連清心飮入門〇
  夢與鬼交而泄精名曰夢遺專主於熱用黄柏知
  母牡蠣蛤粉若内傷氣血不能固守而夢遺者當
  補以八物湯加減呑樗根皮丸八物湯方見虚勞

 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)

  夢遺全屬心。盖交感之精、雖常有一點白膜裹藏於腎、

  而元精以爲此精之本者、實在乎心。日有所思、

  夜夢而失之矣。宜黄連清心飮入門

  夢與鬼交而泄精、名曰夢遺。專主於熱、

  用黄柏知母牡蠣蛤粉。若内傷氣血、不能固守、

  而夢遺者當補、以八物湯加減、呑樗根皮丸。

  八物湯方見虚勞。

 ●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)

 ▲訓読▲(読み下し)

  
  夢遺(むい)は全(まった)く心(しん)に屬(ぞく)す。

  盖(けだ)し交感(こうかん)の精(せい)、

  常(つね)に一點(いってん)の白膜(はくまく)
 
  有(あ)りて、裹(つつ)みて腎(じん)に

  藏(ぞう)すと雖(いへど)も、

  而(しか)も元精(げんせい)の以(もっ)て此(こ)の

  精(せい)の本(もと)爲(た)る者(もの)は、

  實(じつ)に心(しん)に在(あ)り。

  日(ひる)思(おも)ふ所(ところ)有(あ)れば、

  夜(よる)夢(ゆめ)みてこれを失(しっ)す。

  黄連清心飮(おうせんせいしんいん)に宜(よろ)し。

  入門(にゅうもん)

  夢(ゆめ)に鬼(おに)と交(まじはっ)て

  泄精(せつせい)するを、名(なづけ)て

  夢遺(むい)と曰(い)ふ。

  專(もっぱ)ら熱(ねつ)を主(しゅ)とす、

  黄柏(おうばく)知母(ちも)牡蠣(ぼれい)

  蛤粉(ごふん)を用(もち)ゆ。

  若(も)し内(うち)氣血(きけつ)を傷(やぶ)り、

  固(かた)く守(まも)ること能(あた)はずして、

  夢遺(むい)する者(もの)は

  當(まさ)に補(おぎな)ふべし、

  八物湯(はちもつとう)を以(もっ)て加減(かげん)して、

  樗根皮丸(ちょこんぴがん)を呑(の)ましむ。

  八物湯(はちもつとう)の方(ほう)は

  虚勞(きょろう)に見(み)ゆ。

 ■現代語訳■

  
  夢遺は全く心に属する。

  およそ性交時の精は、常に小さな白い膜に包まれて

  腎に蔵されているが、しかしこの精の根本たる元精は、

  正に心に存在するのである。

  昼に思うところがあれば、夜に夢を見て精を失う。

  黄連清心飲を服用するとよい。『入門』

  夢で鬼神と性交をして射精することを夢遺と呼ぶ。

  これはもっぱら熱が原因であり、

  黄柏、知母、牡蠣、蛤粉を用いる。

  もし内に気血が傷られて固守することができずに

  夢遺する者は、補するべきである。

  八物湯を加減するとともに、

  樗根皮丸を服用する。(八物湯の処方は虚労参照)

 ★ 解説 ★

 「夢泄屬心」の三段、四段目です。夢精について別の角度から、別の引用をもって説きつないでいます。

 それぞれの段にそれぞれの処方が挙げられていて、どのような場合にどんな処方を用いればよいのかの検討材料になっています。

 また、最後にあるように別項を参照する部分もあり、そちらを参照することで、またここだけを読むのとは違った読み方ができます。というより違った読み方をさせるように編纂者さんが仕向けていると言えるのかもしれません。

 ◆ 編集後記

 「夢泄屬心」の続きです。前号で次の段と一号に読むには少し長いと書いたのですが、さらに次の段の四段目は生薬や処方名が多く文章としては単純でしたので、一気に二段を読んでしまいました。

 残りは四段ありますが、短い文が多く、もしかしますと次号で全部読めるかもしれません。
                      (2019.08.04.第327号)
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