メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第326号「夢泄屬心」(内景篇・精)3
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第326号
○ 「夢泄屬心」(内景篇・精)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。「夢泄屬心」の一段目、前号に続く部分を読みます。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(「夢泄屬心」p83 上段・内景篇・精)
夢遺不可作虚冷亦有經
絡熱而得之嘗治一人至夜脊心熱夢遺用珍珠
粉丸猪苓丸遺止而終服紫雪脊熱始除清心丸
亦佳本事
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
夢遺不可作虚冷、亦有經絡熱而得之。
嘗治一人、至夜脊心熱、夢遺、用珍珠粉丸、
猪苓丸、遺止、而終服紫雪、脊熱始除。
清心丸亦佳。本事。
●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)
▲訓読▲(読み下し)
夢遺(むい)虚冷(きょれい)と作(な)すべからず、
亦(また)經絡(けいらく)熱(ねっ)して
これを得(え)る有(あ)り。
嘗(かつ)て一人(いちにん)を治(ち)す、
夜(よる)に至(いた)りて脊心(せきしん)熱(ねっ)して
夢遺(むい)す、珍珠粉丸(ちんじゅこがん)、
猪苓丸(ちょれいがん)を用(もっ)て、遺(い)止(や)みて、
終(つひ)に紫雪(しせつ)を服(ふく)せしめて、
脊熱(せきねつ)始(はじめ)て除(のぞ)く。
清心丸(せいしんがん)も亦(また)佳(よ)し。本事(ほんじ)。
■現代語訳■
夢遺は虚冷のみならず、
経絡が熱した場合にも起こることがある。
かつて一人の患者を治療した。
夜に至って脊椎内が熱し、夢遺した。
珍珠粉丸、猪苓丸を用いると夢遺が止み、
後に紫雪を服用させることで脊熱が除かれた。
清心丸もまた効果がある。本事。
★ 解説 ★
「夢泄屬心」の二段目の文章です。夢精が起きる機序にも違いがあることが述べられています。
そして具体的な治験が語られており、この中で処方を三つ用いたことが記載され、さらにもうひとつ、そちらもまた効くと結んでいます。
このうち、紫雪のみこの項目に解説がなく、項目としては雑病の篇、火の章、積熱の項目に登場しています。
通常、別の部分に処方が記載されている場合は、「方見○○」と、そちらを参照する旨明記されているのですが、ここにはそれがなく、自分で探さなくてはいけない処方となっています。
東医宝鑑は全体でひとつの宇宙、みたいなことは何度か書きましたが、全体を何度も読んで構成を把握していれば、どのあたりに関連項目の記載があるか、わかるようになり、またもっと読み込めば、端的に参照部分を暗記できるほどまでになるのかもしれません。
もっとも現代はパソコンの検索であっという間に登場部分がわかりますので、それが良いかよくないかは別として、便利ではありますね。
なお、先行訳ではこの項目を前段部分のみを訳し、今号の文を含めて残りの7段の文章を全て省略しています。
◆ 編集後記
「夢泄屬心」の続きです。短めの文章ですが、次の段も一緒に読むには少し長く、一段のみでお届けしました。
(2019.07.28.第326号)
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