メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ 』第323号「黄連清心飮」(内景篇・精)

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 ◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆

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  第323号

    ○ 「黄連清心飮」(内景篇・精)

         ◆ 原文
      ◆ 断句
      ◆ 読み下し
      ◆ 現代語訳
      ◆ 解説

      ◆ 編集後記

           

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 こんにちは。「遺泄精屬心」に挙げられた具体的処方
 「黄連清心飮」です。
 

 ◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
      ・ページ数は底本の影印本のページ数)

 (「黄連清心飮」p83 上段・内景篇・精)

黄連清心飮

                       治君火既動而相火隨之而精泄黄連
       生地黄當歸甘草茯神酸棗仁遠志人
   參蓮肉各等分右
   〓五錢水煎服入門(〓坐りっとう)

 ▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)

 黄連清心飮

  治君火既動、而相火隨之、而精泄。

  黄連、生地黄、當歸、甘草、茯神、酸棗仁、遠志、

  人參、蓮肉各等分。右〓(坐りっとう)五錢、水煎服。入門。

 ●語法・語釈●(主要な、または難解な語句の用法・意味)

 ▲訓読▲(読み下し)

 黄連清心飮(おうれんせいしんいん)

  君火(くんか)既(すで)に動(うご)きて、

  相火(そうか)これに隨(したが)ひて

  精(せい)泄(も)るるを治(ち)す。

  黄連(おうれん)、生地黄(しょうぢおう)、

  當歸(とうき)、甘草(かんぞう)、茯神(ぶくしん)、

  酸棗仁(さんそうにん)、遠志(おんじ)、人參(にんじん)、

  蓮肉(れんにく)各等分(かくとうぶん)。

  右〓(坐りっとう)(みぎきざ)みて五錢(ごせん)、

  水煎(すいせん)して服(ふく)す。入門(にゅうもん)。

 ■現代語訳■

 黄連清心飲

  君火が既に動いて、相火がこれに随い精が漏れる者を治する。

  黄連、生地黄、当帰、甘草、茯神、酸棗仁、遠志、人參、

  蓮肉を各等分。以上を刻んで五銭を水より煎じて服用する。『入門』

 ★ 解説 ★

 「遺泄精屬心」に挙げられた具体的な処方のふたつめ「黄連清心飲」です。

 「君火」「相火」などは訳でも原文のままにしておきましたが、既にここまで読まれた文脈から、これが何か、そしてこれが動いて、さらに相火が随うこの機序などまでがわかりますよね。というよりそれがわかるように東医宝鑑の編纂者さんが構成したと言った方が正確かもしれません。

 先行訳は、原文の簡潔さから間違いようの少ない文のためだいたい良いのですが、「治」という語を「調整する」としています。

 「調整」というと何をどう調整するのか、という問題が新たに出て、どうすることが調整なのかもよくわかりにくく、なぜこの語を選んだのか、ここは素直に「治する」「治療する」「治す」など「治」、現代でもそのままで通用するこの語「治」を使った方が無難というより積極的に、良いと言えるのではと思います。

 ◆ 編集後記

 「遺泄精屬心」を処方含めて全て読み終わりました。次号は次の項目、
 「夢泄屬心」を読む予定です。前の項目と似ていて、また違う部分も良くわかりますよね。

 これはとても長い文で、段数にして8段あり、メルマガでは全部で4、5号にわたって読むことになると思います。
                      (2019.06.30.第323号)
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