メルマガ『東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─』第282号 單方「菖蒲」「甘菊花」
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◇ 東医宝鑑(東醫寶鑑)とういほうかん─古典から東洋医学を学ぶ─ ◆
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第282号
○ 單方「菖蒲」「甘菊花」(内景篇・身形)
◆ 原文
◆ 断句
◆ 読み下し
◆ 現代語訳
◆ 解説
◆ 編集後記
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こんにちは。単方の続き「菖蒲」「甘菊花」です。どちらも少し長いです
が、一気にふたつ読んでしまいます。
◆原文◆(原本の文字組みのままを再現・ただし原本は縦組み
・ページ数は底本の影印本のページ数)
(單方「菖蒲」「甘菊花」 p79 上段・内景篇・身形)
菖蒲
輕身延年不老取根〓浸一宿曝乾搗末以糯(〓さんずい甘)
米粥入煉蜜和丸梧子大酒飮任下朝服三十
丸夕服二十丸本草〇菖蒲酒方菖蒲根絞汁五斗
糯米五斗炊熟細麹五斤拌〓如常釀法酒熟澄(〓均の右)
清久服通神明
延年益壽入門
甘菊花
輕身耐老延年苗葉花根皆可服陰乾搗末
酒調服或蜜丸久服本草〇菊花酒方甘菊花
生地黄枸杞根皮各五升水一石煮取汁五斗糯
米五斗炊熟入細麹和〓入瓮候熟澄清温服壯(〓均の右)
筋骨補髓延年益
壽白菊花尤佳入門
▼断句▼(原文に句読点を挿入、改行は任意)
菖蒲
輕身、延年不老。取根、〓(さんずい甘)浸一宿、
曝乾搗末。以糯米粥入煉蜜、和丸梧子大、
酒飮任下、朝服三十丸、夕服二十丸。本草。
菖蒲酒方。菖蒲根、絞汁五斗、糯米五斗、炊熟、
細麹五斤拌〓(均の右)、如常釀法、酒熟澄清久服、
通神明、延年益壽。入門。
甘菊花
輕身、耐老延年。苗葉花根、皆可服。陰乾、搗末、
酒調服。或蜜丸久服。本草。
菊花酒方。甘菊花、生地黄、枸杞根皮各五升。
水一石、煮取汁五斗、糯米五斗、炊熟、入細麹、
和〓(均の右)、入瓮、候熟澄清温服、壯筋骨、補髓、
延年益壽。白菊花尤佳。入門。
▲訓読▲(読み下し)
菖蒲(しょうぶ)
身(み)を輕(かる)くし、年(とし)を
延(のべ)て老(おひ)ず。根(ね)を取(と)り、
〓(さんずい甘)(かん)に浸(ひた)すこと一宿(いっしゅく)、
曝(さら)し乾(かはか)し搗(つ)き末(まつ)す。
糯米粥(こうべいしゅく)を以(もっ)て
煉蜜(れんみつ)に入(い)れ、和(わ)して
梧子(ごし)の大(だい)に丸(まる)め、、
酒飮(しゅいん)にて任(まか)せ下(くだ)す、
朝(あした)に三十丸(さんじゅうがん)を服(ふく)し、
夕(ゆうべ)に二十丸(にじゅうがん)を服(ふく)す。
本草(ほんぞう)。
菖蒲酒(しょうぶしゅ)の方(ほう)。
菖蒲根(しょうぶこん)、
汁(しる)を絞(しぼ)り五斗(ごと)、
糯米(こうべい)五斗(ごと)、炊(た)き熟(じゅく)し、
細麹(さいぎく)五斤(ごきん)
拌(ま)ぜ〓(均の右)(ととの)へ、
常釀(じょうじょう)の法(ほう)の如(ごと)くす、
酒熟(しゅじゅく)し澄(すま)し清(きよ)ふし
久(ひさし)く服(ふく)すれば、
神明(しんめい)に通(つう)じ、
年(ねん)を延(の)べ壽(じゅ)を益(えき)す。
入門(にゅうもん)。
甘菊花(かんきっか)
身(み)を輕(かる)くし、老(お)いに耐(た)へ
年(ねん)を延(の)ぶ。苗葉花根(なえ・は・はな・ね)、
皆(み)な服(ふく)すべし。陰乾(いんかん)して、
搗(つ)き末(まつ)し、
酒(さけ)に調(ととの)へ服(ふく)す。
或(あるひ)は蜜丸(みつがん)して
久(ひさし)く服(ふく)す。本草(ほんぞう)。
菊花酒方(かんきっかしゅほう)。甘菊花(かんきっか)、
生地黄(しょうぢおう)、枸杞根皮(くここんひ)
各五升(かくごしょう)。水(みず)一石(いっこく)、
煮(に)て汁(しる)五斗(ごと)を取(と)り、
糯米(こうべい)五斗(ごと)、炊(た)き熟(じゅく)し、
細麹(さいぎく)を入(い)れ、
和(わ)して〓(均の右)(ととの)へ、
瓮(こう)に入(い)れ、熟(じゅく)するを
候(うかが)ふて澄(すま)し清(きよふ)して温服(ふく)す、
筋骨(きんこつ)を壯(さか)んにし、髓(ずい)を補(おぎな)ひ、
年(ねん)を延(の)べ壽(じゅ)を益(えき)す。
白菊花(はくきっか)尤(もっと)も佳(よ)きなり。
入門(にゅうもん)。
■現代語訳■
菖蒲
身を軽くし、寿命を延ばして老いなくなる。
根を取り、米のとぎ汁に一晩浸し、
日に晒して乾かし、搗いて粉末にする。
糯米粥に煉蜜と共に入れ、混ぜてから青桐の種の大きさに丸め、、
酒をもって服用する。朝に三十丸、夕に二十丸を服用する。
『本草』。
菖蒲酒の方。菖蒲根五斗(汁を絞る)、
糯米五斗(炊いて蒸らす)、
細かい麹五斤に混ぜて均一にし、
一般的な酒と同じ方法で醸す。
酒を熟し上澄みを取る。長期間服用すれば、
神明に通じ、寿命を延ばす。『入門』
甘菊花
身を軽くし、抗老作用があり、寿命を延ばす。
苗・葉・花・根、すべて服用可能である。
陰乾し、搗いて粉末にし、酒に溶かして服用する。
または蜜で丸める。長期間服用する。『本草』
菊花酒の方。甘菊花、生地黄、枸杞根・皮各五升。
水一石で煮て五斗汁を取る。
糯米五斗を炊き蒸らし、細かい麹を入れまぜて均一にする。
瓶に入れて熟するのを待ち、上澄みを取って温服する。
筋骨を壮んにし、髓を増し、寿命を延ばす。
白菊花が最上である。『入門』
★ 解説 ★
単方の「菖蒲」「甘菊花」です。どちらも単品での解説と、酒での解説を併せています。
言葉は微妙に違いますがどちらも似た効用を説いていますね。23種挙げられていますが、配列の近いものはより効用も近いと見てよいのかもしれません。それは全部を読み終わってから判断してみましょう。
◆ 編集後記
単方の「菖蒲」「甘菊花」です。どちらも文が少し長く、一種で一号でもよい長さと思いますが、既に書きましたように全体の読解を早めるため少なくとも一号に二種は読みたいと思います。
(2018.09.08.第282号)
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