BADEND依存症
僕はBADENDが好きだ。というより、綺麗に終わるHappyEndよりも後味の残るBADENDの方が心に残る。
無論、救いがあるに越したことはない。でも、簡単に円満にハイ解決、では僕の心は全然報われないのだ。僕だって人間だから、他人が自分より幸せなことが許容できないのだ。
手の届かないところに行かないで欲しい。それならいっそ、不幸に落ちてほしい。上を見るのは辛いけれど、下ならいつでも目をやれる。
僕が初めて出会ったBADENDは、魔女の家だった。只々後味悪い結末。でも、どうしたって誰が誰を責める資格があるというのだろう。深いネタバレは是非やってみて欲しい期待を込めて避けるが、僕にとってあのゲームはそれほど好きなので、よろしくお願いしたい。
僕が一番好きな所は、行為の善悪はあれど、それが魔女を咎めることのできる理由にはなれないところだ。誰がどうして幸せになりたいと、生きていたいと思うことが罪だと言えようか。僕らは常に、今この瞬間にも命を奪い、見捨てて生きている。例外など無く、生物は利己的だ。それ故に、僕が彼女と同じ状況になればそうするだろうと想像できてしまうのである。
BADENDとは即ち、どうしようも無い苦しみであり、それが僕にとっては居心地が良いのだ。
本当はそんなことであって欲しくない。
幸せになれるのなら、すべからくなって欲しい。
呪いの底にあっても尚、這い上がりたいと願わずには居られないように、幸福もまた、苦しみの中にあっても希望だからだ。
だから僕はBADENDが愛おしくて、すぐ近くにあって、大好きで、大嫌いなのだ。