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新築か、中古か?:家の購入記7

一般的にちょっと家の購入について調べ始めると、「新築を買うのは愚か」とよく言われる。

それは、「新築プレミアム」・・・つまり、新築には20%くらいのプレミアムが乗っているから、鍵を開けた瞬間に20%くらい価格が下がる。つまり、実態は全然変わらないのに、鍵を開けただけ、中古になっただけで、価格は20%も下がるのだということ。

だから、「新築を買うのは愚かなこと」というのが僕が勉強したことだった。

考えてみれば、「賃貸はみんな中古」。
僕はずっと賃貸で来たのだから、中古で充分だと思っていたし、その方がお買い得なら、なおさら、そうだ。

だけど、ずっと見てきた通り、「築15年の中古住宅」と同じエリアにある「新築住宅」が同じ価格だったりするのを見るにつれて、一概にそうとは言えないんじゃないの?と思うようになってきた。

そこで、新築住宅も検討に入れてみることにした。


中古住宅を探してみて気づいたこと

1,金額面の話

相場感のところで記載した通り、売られている物件を見てみると、築20年くらいまでは、「土地値比率が高い物件」なんて、ほぼない。

普通に住める家(傾き・雨漏りなどがない家・再建築不可物件などではない法的に適合した家)は、今の市況のせいもあるかもしれないが、なかなか強気。

そして、値引きのところで書いた通り、普通の住宅の場合、値引き交渉だって、さほど期待できない。

例えば、首都圏のあるエリアだと、僕が見た限りで、新築が3500万くらい〜6000万くらいなのに対し、築10年で2800万〜3800万、築20年で2800万〜3480万くらいとなっていた。

細かい立地も違えば、造りも広さも違うので、一律に比較するわけにはいかないけれど、新築プレミアムで2割というなら、鍵を開けただけで3500万が700万引きになり、2800万くらいになるはずだけど、実際には、築10年で2800万値段がついている。

この築10年の家がもともと5000万だったとか言われると、そうではなく、謄本とか見ればだいたい元値が分かるけど、高くても3500万くらいの物件だと推察できた。

だから、ちょっと「新築プレミアム」は、言われているのと違うのではないか?と感じた。

中古の場合、さらにリフォーム費用がかかる

築10年の物件は、あまり出てこない築浅物件。
なのに内見に行くと、やっぱり、ちょっとは老朽化している箇所がある。

建物でいえば、築10年は築浅に見えるけど、10年って長い。
その間の災害、雨風などはすべて経験しているし、その間ずっと人が住んでいるわけだから・・・。

では、その築10年2800万の物件をリフォームしたとして、いくらかかるのか?
外壁で100万〜150万くらい、防蟻対策で20万くらい、ルームクリーニングで10万くらいだろうか。
そうすると、もう住むだけで150万〜200万くらいは掛かる。
と、2800万+150万〜200万=3000万近くになる。

もう新築との価格差はわずかになってしまう。
10年経っているのに。

そして、それでも、配管や躯体、設備は古いまま
配管などまでいじれば、1500万くらい掛かるらしいから、そうすると、4300万くらいになる。こうなると完全に新築を超える。

じゃあ、築20年ならどうか?
それも同じで、リフォームの費用が築10年よりもかさむし、より配管や間取りなどは古くなる。

築20年以上の物件を最低限のリフォームだけをして住む」というのが、金銭的にもっともお得といわれるし、僕も実際に見て、そう思った。
だけど、「そこに住みたいのか?」と言われると、建物自体も間取りも古いし、「貸したり、借りるならいいけど、自分が買って住むのはちょっと」という意見になる。

こうなると、もう中古がお得とは言えないだろう。

確かに中古だと物件取得に払う金額は少なくなる。
けれども、ちゃんとリフォームすると、かなり新築の価格に近づいていく。
それなのに、配管や家の基礎などは古いまま。

僕が心情的にしていたお金の計算

これは一般的な計算方法ではないし、厳密でもないし、そもそも計算方法自体が間違っていると指摘されると思うけど、僕が心情的にしていた計算。

本来は相場感のところで述べたように様々な計算方法がある。
だけど、いつの間にか、僕はこう考えることが増えてきた。

それは、築年数とだいたいの家賃を比べているだけなのだけど、

  1. 今、築10年で2800万の家なら、月10万の家賃(年120万)×1200万なら、新築時4000万か・・・。

  2. これが10年前に4000万か・・・払うかな? 今の他の新築物件と比べてどうだろう?

というもの。

実際はそういうふうに価値を測るものではないけれど、自分の賃貸10年と比べてみたかったので、こんなふうにも見ていた。

この物件に自分が10年前から新築4000万で住んで、今、2800万で売る。
おそらく実際はもっと新築時は安かったはず。
どう考えても4000万はしない。3500万くらいだろう。
それに家賃12万くらいはこの物件なら取れそうなのに、家賃10万で計算しても、500万くらい高くなる。
なんか、売り主、めっちゃ元を取ろうとしていないかい?

そう見ても、なんか中古の物件は割高な気がしてきたのだった。

2,中古はメンテナンスがすぐに来る

築10年を過ぎた頃から、色々壊れ始めるという。

つまり、中古の場合、メンテナンスまでの期間が短く、すぐに来るということ。

建物が新しくて、メンテナンスがほとんどない、一番いい時期はもう過ぎているということになる

大きな価格差があるならいいけど、わずかな価格差で、一番いい時期を味わえない物件を買うのか・・・と思うと、損な気がした。

加えて、新築時は10年間、契約不適合責任がついている。
だから、10年間は大きな瑕疵が見つかっても平気なのだけど、築10年以上はこれがないという不利益もある。

3,中古は選ぶのが難しい

立地・エリア・接道などについては新築も同じだけど、中古の場合、建物の状態についても、ちゃんと調べないといけない。

傾き、雨漏り、水回り、シロアリなどお金がかかる部分は見逃しちゃいけないし、築古の場合はアスベストとか耐震基準なども見落としちゃいけない。

それらのことを付け焼き刃の知識で見抜かなくてはいけない。
それも、一生の一度の金額の売買で。

いや、本当に難しい。

上で述べたように、新築の場合は、10年の契約不適合責任(瑕疵担保責任)がついている。
上のような重大な瑕疵が見つかれば、保証してくれる。

個人が売り主の場合が多い中古と違い、規模も大きいだけでなく、ちゃんと保険にも入っているし、供託金も積んでいるので、払ってくれるだろう。

新築物件を見始めて気づいたこと

そこで僕らは「新築も、一応、見てみよう」と気になった新築の内見に行くことにした。

そこで気付いたのは、以下のことだった。

やはり中古とは比較にならないくらいにキレイ

中古物件を見慣れた僕らからすると、新築の物件に、一歩、足を踏み入れた瞬間から、当たり前だけど、「わあ、キレイだなあ」と嘆息してしまった。

それに、新築はやはり「売る気」が段違いで、新生活がイメージできるように家具が配置されていたり、電気がついていたりし、要するに、物件のイメージを上げようと努力してくる。

一方、中古は、もう掃除すらしておらず、汚いままだったり、キレイにしていても古さに負けてしまっていたりして、「暗い印象」を常に感じていた。

「売る気があるのかな?」と思う物件も多かったし、すごくキレイに掃除され、壁紙なども張り替えられていても、「お風呂がタイル」だったりなど、「そこが高いのは分かるけど、やるのはそこだろ!」というようなケースも多々見受けられた。

中古はなにか常に「最低限でいいだろ」感があった。

素材や設備の進化は著しい。

やはり10年20年は長い。
僕の入っていた賃貸マンションも「そこそこ新しい」と思っていたのに、実際は、とっくに時代遅れになっていたようだ。

スマートロック、インターフォン、お風呂、キッチンなど、すべてが浦島太郎のようだった。

お風呂の壁がマグネットになっているなんて、担当者にとって、説明するまでもない・・・という感じだった。
聞いたら、「えっ、なっていると思いますけど」という感じだった。

インターフォン、全部、録画するのかよ。
スマートロックって、なにそれ、大丈夫なの?
お風呂、自動でお湯はりするの?
キッチンの壁がタイルって、もう古いってホント?オシャレだと思ってたんだけど・・・

など、いかに自分が時代遅れの住宅に住んでいたか、センスが遅れていたかと思い知らされた。

建築費が上がり、新築の素材のグレードを下げているという話も聞く
聞くけど、10年前のグレードの高いスマホと今のグレードの低いスマホ、どちらが上か?という話で、
昔のグレードの高い設備と、今のグレードの低い設備で、どれほど差があるのか?と思う。
もちろん、そのまま比べられるものではないけれど、見てきた中古住宅と比べても、売り主こだわりの中古の注文住宅と比べても、今の新築物件の方が段違いに良く感じた。

同じように素材もまた大きく進化しているようだ。

中古物件を探すに当たって、僕は素材なども調べてみたのだけど、例えば、「ガルバは音がうるさい」とかいう欠点も、「今のガルバはうるさくない」などと変わってきていたりする。
そういうのがすべてにおいて起きている。

屋根も外壁も断熱材も。
どんどん進化している。
なら、新しい方がいいに決まっているし、強いに決まっている。

品質が厳しくなっている

さらに、今年からは品質の基準が上がっていて、新築は、ZEH基準とか長期優良住宅とかになっている。

断熱性能とか耐震性能とか、耐風とか、すべての基準が上がっている。

思えば、今の賃貸マンションは、冬、もうかなり寒い。
外より寒いこともあったくらいだ。

こういうことを考えもしなかったけど、「住み心地」というのも違うんだなと感心してしまった。

売り主が企業である。

注文住宅であれ、建売住宅であれ、新築はもう確実に売り主は企業である。

中古の場合と違い、何を聞いても、即答してくれる・・・というか、最初からパンフレットなどで説明されているし、
交渉などもビジネスライクで、話も通じるし、本当にラクに感じた。

それに売ってから10年間の契約不適合責任があるし、安心だ。

値下げ幅が大きい

そして、「新築プレミアム」とか、新築は割高という印象があったが、実際は、中古よりも新築の方が値下げ幅が大きいことも分かった。

中古の場合は、個人の場合が多いからか、「その価格で粘り続ける」ことができる。
だけど、新築の場合、特に飯田グループとかのパワービルダーは、「物件の回転率」を重視しているので、売れない物件はどんどん値下げして、売り切ってくる。

だから、100万単位で、ガンガン下がっていったりしていた。

中古では、そんなことは一切考えられなかった。

最低限の設備がなかったりする。

もちろん、新築もいいことばかりではない。
最低限の設備がなかったりする。

驚いたのは、「網戸」がないこと。
いやあ、網戸くらいは標準装備かと思ったけど、網戸がないのが標準らしい。だから、これだけで10万〜20万くらい掛かる。

あとはカーテンレールが無かったり、エアコンの穴が空いてなかったり・・・。
外構をやっていない家もある。
まあ、当たり前といえば、当たり前かとも思う。

こういうのは自分でやったり、つけなくてはいけないけれど、全部自分でつけなくてはいけない場合は、100万くらいは覚悟しなくてはいけない。

そう考えると、中古の物件は全部ついていたから、新築価格+オプション価格で、中古物件の価格は比較してあげないといけなかったんだなと、反省をした。

注文住宅について

ほとんどの人が知っているとは思うけれど、新築住宅は、すでに建っている家を買う「建売」と、自分で設計段階から関わる「注文住宅」がある。

建売が既製品で、注文住宅がオーダーメイドという感じ。
それで大手の建売業者のことを「パワービルダー」
注文住宅の業者のことを「ハウスメーカー」
と呼ぶらしい。

誰もが知っている言葉のように、いきなり「パワービルダー」とか「ハウスメーカー」という言葉が出てきたりするので、「そんなに常識なのか・・・」と僕はちょっとびっくりした。

「新築」というと、「注文住宅でしょ?」という人もいれば、「建売」をイメージする人もいる。

この「注文住宅」だけど、僕は以下の理由で、やめることにした。

  1. 高いし、値段の適正価格が分からないこと・・・オーダーメイドはどんなものでもそうだけど、設計料、素材、工賃など全部掛かるから高額だし、その内訳や金額設定は曖昧なことが多い。建売よりも1000万以上は高くなる。

  2. 売却時に価値にならないこと・・・注文住宅であることや、建て主のこだわりなどは、売却時に、全く価値として評価されない。少なくとも今のところは。

  3. まず土地を買うのだけど、その土地でかなり価格が乗っていることと、いい土地を探すのが難しい・・・建築条件付き(絶対にうちで建物を建てろよという条件で土地を売る)だったり、そもそもいい土地が無かったり・・・。いい土地は取り合いだから、個人に回ってくるなんてことはレアな気がした。

  4. オーダーメイドは結局、平均的なものに落ち着く・・・素人のこだわりは、プロから見れば、「それは無理なんですよ」とか「そうすると、ここがダメになりますよ」というようなことが多くて、色々削るうちに、ほとんど平均的な住宅と変わらないか、毛が生えたくらいに落ち着くことが多い。

僕はオーダーメイドを請け負う事業もしていたことがあるので、家もだいたい同じなのではないかな?と注文住宅はやめておくことにした。

まとめ

以上が新築物件を見始めて気づいたことだった。
ただ、新築は「今、家が建っていないところに建てる」もしくは「一軒の家を分割して建てる」ということが多いので、中古の方が立地や敷地面積などの面で優れているものもある。

ちなみに、僕は勘違いしていたのだけど、戸建ての場合、新築でも売り主が直接売るわけではないケースが多いので、その場合、「仲介手数料」が掛かる。
仲介手数料が掛からないのは、新築マンションだけらしい。
この点は中古新築、どちらも変わりはない。

ということで、新築、中古、両面で探していくことにした。



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