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ワインが投資になるって聞いたのですが・・・④

前回記事はこちら↓

ケイ:そして、先々のファインワイン価格がどうなるか、皆さんが一番気になるところかもしれませんが(笑)、その根本は「投資の本質」に戻ります。ファインワインが、世界中のより多くの人に受け入れられ「人々の豊かさと幸せ」を増やしていくのか、ですね。ファインワイン産業に魅力を感じるのであれば、消費者として「飲む」という形での参加に留まらず、ファインワイン産業に「貯蔵する事業家」として参加するのは、良い選択と思いますよ。投資というのは、ある産業へ事業家として長期で参加し、世の中を豊かで幸せにしていく行為です。そして世の中が豊かになった一部が、利回り(リターン)として返ってくるのです。

また、分散効果という視点については、資産間の短期的な値動きの話だけではなく、その資産の経済的な本質を考えることが大事だと思います。例えば、美味しいブドウが収穫できるかは日照量や天候次第なので、それは株などの価格を決める景気の変動とは異なりますよね。投資というのは、表面的な過去の価格の数値に目が行きがちですが、その背景にある経済的な実態を考えることがより大切と思います。

ワイン投資に参加する方法について

ケイ: さて、前回までで、ファインワイン産業の仕組みや、ワイン投資の利回りについて解説しましたので、今回は、ワイン投資の方法について整理していきましょう。

アキラ:はい、これも興味があります。金額としては、数十万円ぐらいからスタートできるってことでしたよね。

ケイ:はい。ワイン投資へ参加する方法は主に3つに分けられます。

①ワイン商から購入しての現物投資(貸倉庫に保管)

②ワインファンドへの投資(金融商品を保有)

③オークションに参加しての現物投資(貸倉庫に保管)

この中で最もメジャーなのは、①ワイン商から購入しての現物投資(貸倉庫に保管)です。そして①と②の場合、投資を斡旋する会社のアドバイザーやファンドマネージャーが、独自の目利きや顧客へのヒアリングを通じて、ファインワインのポートフォリオを組んでくれます。③はワインに相当詳しい人で、かなりのお金持ちでない限りは、関係ないでしょう。もっとお金持ちになると、ハリウッドスターのように自分のワイナリーを持つような投資もありますね。

①の方法がよりメジャーな理由は、多くの投資家は自分の資産を増やすためだけでなく、自分で飲んだりプレゼントしたりという、人生の楽しみをワイン投資に求めているからです。空調管理がしっかりされた保税倉庫でワインを貯蔵し、必要な時にワインを取り出し、残り部分は投資を継続していくということです。なお、投資をしたワインは購入した時点で自分の資産ですので、投資用ワインを販売した業者が倒産したとしても、個人資産は影響を受けない形をとります。

次に②のワインファンドへの投資は、金融商品を買う形での投資になります。①との大きな違いは、実際にワインを飲みたくても飲めないことですかね。また、ファンドへの投資後、5年程度はお金を引き出せない制約があることも多く見られます。まあファインワインは長期で投資をすることが前提ですし、投資家側は短期の価格変動に一喜一憂することなく、ワインファンドを運用する側も長期視点で投資に取り組めるなど、引き出し制約には良い側面も多いのですけどね。なお、有力なワインファンドの運用会社は外国籍なので、その説明や手続きなど、外国語のハードルを感じられる方も多いでしょう。

アキラ:なるほど。いずれにしてもワイン卸として投資サービスを斡旋している信頼できる業者などから、投資用のファインワインを買うのがメジャーな方法なんですね。

ケイ:はい。次に投資に関わる税金についてもグローバルにみてみましょうか。値上がりした時の税金面において、①の現物投資の方がメリットが大きい国が多くあります。投資商品や収集物が値上がりした場合、通常は値上がり益(キャピタルゲイン)に対して課税がされますが、例えばイギリスやフランスでは、ワインは”Wasting Asset”(価値が50年以内には減耗して無くなるであろう資産)という税法上の特別な資産と見なされて、キャピタルゲイン課税はゼロとなります。ナマモノとして、絵画や高級時計などの収集品とは違う資産だと見なされているのです。一方、②の場合は金融商品なので値上がり益に対して20%なりの税金がかかります。

アキラ:えーー。それは、またまたかなり面白い特徴ですね。需供面だけでなく、税制面でもかなりワイン投資はかなり特殊なんですね。日本の場合でも税金は、ひょっとしてゼロ!?

ケイ:残念!日本では①の現物投資でも②のファンド投資でも、値上がり益に対して税金はかかります。①の場合、譲渡所得として値上がり益に対して、個人の所得税・住民税に対応する税率がかかります(年収によって税率は異なる)。ただ年間50万円の基礎控除があり、毎年確定した値上がり益50万円までは課税はされないので、値上がりしたワインを小分けに、タイミングを見て売却するのが賢い方法ですね。②の場合は、投資先のファンドの種類によって税金の扱いが変わってきますので、税理士などの専門家に確認が必要です。アメリカでは、収集品として値上がり益の28%の課税が一般的です。

アキラ:そっか、残念(笑)。イギリスとフランス、いいですねぇ。

ケイ:ですね(笑)。税法は各国の文化や商慣習を反映するので、これは致し方ない。フランスに旅行すると、小売店でワインが超安いことに驚きます。これは国策としてワインに対する酒税が一本3セント(約4円)と極めて低く設定されており、小売価格が5ユーロや10ユーロ(600円〜1200円程度)のワインでも、超美味しいんです。数十年前まで、フランスの多くの工場ではひねるとワインが出てくる蛇口があって、工員はワインが飲み放題だったという話もあります。今は、事故などにつながるということで無くなってしまいましたが(笑)。と、話がそれましたが、皆さんにとってまず大事なのは、ファインワイン投資の利回りや自ら飲む楽しみであって、税金は副次的な話なので、主従関係を間違えないようにしてくださいね

⑤に続く・・・


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