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寄付にまつわる税金の整理

「寄贈寄付」についての続き記事です。前回記事はこちら。


最終回の今回は、寄付と税金について記しておきます。

<寄付についての税務はどうなっているの>

さて次は税務です。常にややこしいですよね。

死んだタイミングで行う遺贈寄付では、所得税/住民税だけでなく、相続税や故人の最期の確定申告が絡んでくるため、一般の寄付よりも広く知識が必要に思います。とは言っても、税金のトピックとしてポイントは絞られている印象です。大切なものを記しております。

・税制優遇団体

まず寄付をすると税金が優遇されるとされる団体の種類を抑えましょう。特定公益増進法人と言われる団体。独立行政法人、公益法人、NPO法人、日本赤十字社、学校法人、社会福祉法人などなど。。ただ、これらの主体は税金や社会保険料で経営が成り立っている団体も多くなります。ですので、個人の寄付先として一般なのは認定NPO法人になるでしょう。日本で1200社ぐらいありますね(そんなに多くない)。

なお、寄付をした場合の優遇がない法人は、一般のNPO法人(6万社)、宗教法人(17万件)、一般社団法人(6万社)、株式会社等です。これらに寄付はできますが、税金の優遇はありません。

・寄付金控除について

認定NPO法人などに寄付をすると、一般には税金が安くなります(ただし、寄付でお金が出ていくので、税金が減るといっても何かお金的に得をする訳じゃないです。念のため)。寄付金控除は所得控除と税額控除のどちらかを選択します。所得控除は、それぞれの所得税率区分によって控除金額が大きく変わります。また寄付団体によって、どちらかしかできない場合もありますが、それは要確認ですね。

・遺言による寄付と、相続財産の寄付の違い

遺言による故人の寄付か、相続した相続人の寄付か、で税金の扱いにも違いがあります。

<故人が寄付した場合>
相続税については、上記にあった税制優遇団体だろうと、非優遇団体だろうと、公益性のある団体への寄付であれば(昔のあしなが奨学金など)、相続税の対象からは外れます(税理士さんとかでも勘違いしているポイント)。ただし、故人が生前に例えば社団法人にお金を寄付して、その親族がその法人から給料を受け取るような租税回避行為は、認められません。また、公益性のない団体への寄付は相続財産から引けないので注意です(町内会とか学生時代のサークルなど)。

・一方で、所得税については、税制優遇団体への寄付のみ、準確定申告で費用として引けます(住民税合わせて総所得金額の50%、税額の25%までなどかなり引けます)。この相続税と所得税の引ける引けないの違い、注意ですね!!

<相続人が寄付した場合>
相続した相続人が故人の意思を汲むなりして寄付をした場合、準確定申告で引いた寄付金控除は、相続人の確定申告でも引ける、という驚きの税法があります。二重に引ける!!

例えばお父さんが死んだとして、その財産の一部を息子が寄付をしました。それをお父さんの最後の確定申告で費用として、また息子の確定申告でも費用として2回ひけるのです。まじか!なのですが、こうなっています。

なお、遺贈寄付については、金額としては故人の寄付が圧倒的に多いのですが、件数としては相続した相続人の寄付が圧倒的に多いそうです。後者のように、相続人が故人の遺志をくみ取って寄付をする文化があるというのは、何だかすごく心温まる話です。

以上、主に遺贈寄付についての全4回の記事はおしまいです。遺贈寄付は素晴らしい考え方だと思いますし、少子高齢化社会の中で、日本や世界をより良い社会に変えるために、極めて大切な働きとなるでしょう。

僕は先日、初めて遺言書を書きましたが、(関連記事こちら)、まだ40代ですし定期的に書き直します。次回には遺贈寄付についてもしっかり記そうと思います!!

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