ワイン🍷オークションの下見に初めて行ってきました②

同記事の後編です。前編はこちら。

先週にワインオークションの下見会に初めて参加してきました。百聞は一見にしかず、色々な驚きと学びがあり、私の新しいトウシのトビラが開きましたのでNOTEしておきます。

・多品種少量であるワインの魅力の奥深さ

基本的にワインは多品種少量生産です。シャンペンなどでは大手資本がはいっていてブランド化されているネゴシアン物（桶買いもの）も多くありますが、一般的には畑自体がブランドとなっている垂直統合の生産の形がとられています。

今回もオークションのカタログに、何百何千ものアルファベットとカタカナがズラーっと並んでいるのを見て、やはり「一般人だととてもじゃないけど好みの一本を選べないなぁ」「選択肢が多すぎて購買意欲が湧かないなぁ」と思いました。自分の好き嫌いの軸ができるまで知識がある人か、誰かのアドバイスであったりとかが、ここにあるファインワインを選ぶためには必要に思います。一方で、時計や高級ハンドバックのように、ブランド名だけではない価値の奥深さが、ワインの魅力であると改めて思いました。

だからといって、オークションの下見会には、初心者の人を排除している感じも全くなかったです。カタログには下記のような説明が丁寧に載っています。

30年経過以上のワインの番号もまとまっていたりします。多くの方が入ってこれるようにハードルを下げる取り組みをオークションハウスも工夫しているように思います。まあハードルを下げすぎても良いとも思いませんが、業界ファンを増やすべく、色々な工夫は参考になりますね。

購入者として覚えておいた方がよい、下見会などで担当者などに必ず確認した方が良いと思うのは、これらのワインの過去の保存状態や来歴などですね。出品されている殆どのワインは、愛好家が自分で飲む用にと大切に保管されていた品々とは思いますが、信頼できるワイン業者ではなく一個人の愛好家に渡っている時点で、その来歴や保存状態が不透明であるというリスクは認識しておいた方がよいでしょう。ただ、ファインワインの世界に入っていかれる方は、そのようなリスクも織り込んだ上でワインライフを楽しんでいるようにも思います。

・オークション本番は二日にかけて、本当に一本づつ競りをする

二日で15時間以上、本当に一本づつ競りをしていくとのことです。非常に長い時間となるので、もし参加したとしても、ずっと参加し続けるのは厳しいですね。実際は、自分が欲しい番号のワインと競りの時間に当たりをつけて、部分的に参加して競り落とす感じになるのだと思います。

なお、参加者の8割はネット経由で競りに参加しますので、きょうび、当日の競り会場はガラガラとのことでした。参加するためには、身分証明書や法人なら登記書などでの登録が必要ですが、特別に厳しいものではなさそうです。参加は個人も法人でも可能です。

ちなみに、手数料として買い手から16％程度をオークションハウスに支払います。また売り手は12％ほど払っているとのことですので、オークションハウスは成約価格の約3割の儲け。

他の資産の手数料と比較するとやや高いでしょうか。株券や投資信託がほぼタダ、一部の投資信託が3〜4％、不動産が6％、メルカリやヤフオクが10％（売り手のみ）、アートなど多くの収集品が10~20％となるので、上っ面の数字だけだと横比較でやや高いと思いました。ただ、16％払って一点ものの欲しいワインが手に入るならばそれはプライスレスと思いますし、ワインの希少性やそに込める人々のパッションの高さの現れと言えるかもしれません。

・世の中にある資産の本質が分かる

実際に、会場に行くと、このオークション開催に相当の手間がかかっているのがよく分かります。現物資産なので、そのブツを目の前に並べなくてはならないですし、これこそが金融の世界でいう「XX取引所」の原点かと思うと、感慨深いものがありました。

取引所、すなわち何かの資産を取引する市場（いちば）は、我々の社会の豊かさのためにとても大切です。私に言わせれば、もう国会とか裁判所ぐらいに大事です。資産を二次流通させる仕組みがないと、社会の豊かさが大きく減ってしまうのです。

取引所がない世界では、何らかの価値がある資産を購入できるタイミングは、生産者の手から離れるタイミング、一度だけに限定されます。特に高額なものを買う時に、それが二度と売れないとすると、その行動に対してとても慎重になってしまいます。結果、本来は価値あるものへの社会全体でのお金の移動が進まず、新しい豊かさが作られづらくなってしまいます。

例えば、素晴らしいワインを作れる農業生産者、世の中を便利に変える技術を持っている企業（株式）、などが分かりやすいでしょうか。何かを購入できる人のお金（つまり社会で余っているお金）が、世の中により素晴らしい価値を届ける主体へ、より多くより円滑に移っていくと、その社会はそうでない社会と比べて、どんどん進歩していきます。

オークションや取引所のような、ある資産の二次流通が行える仕組みがあると、購入者は「本来価値あるもの」へより安心して、より高い価格を払うことができ、結果として世の中が前に進むのです（そして、二次流通のための取引コストや規制など、いわゆる「流動性」に関わる制約をいかにゼロに近づけるかが社会活性化の大事な視点になります）。

反対に、オークションや取引所を通じた「資産の二次流通」の仕組みがなければ、結果的に、美味しいワインを誰も作らなくなる、新しいアート作品を誰も描かなくなる、新しいアイデアでの起業を誰もトライしなくなる、という世の中が生まれてしまう。そのような状態が10年、30年、100年続くと、人々のマインドセットまで含めて、社会の豊かさの基盤に大きな影響を与えてしまうでしょう。

ということで、ワインオークションの下見会への参加、色々な学びがありました！皆さんも機会があれば、是非ともワインオークションという投資の扉を叩いてみてください！

※ご参考↓ 　過去、ワイン投資とは何？という初心者向けの記事を全５回で書いています。興味ある方は覗いてみてください。