中原駿レポート 2023年2月13日特別号
日銀総裁選出に見る政府と日銀の暗闘とアコード
最有力候補にして打診もあった―と報道された雨宮副総裁が固辞。日銀総裁の指名は、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏(71)を起用する人事を固めた。黒田氏の任期は4月8日まで。政府は人事案を2月14日に国会に提示。衆参両院の同意を経て、政府が任命する。副総裁には内田真一理事、氷見野良三前金融庁長官を起用。政府は黒田氏の後任総裁として雨宮正佳副総裁に当初打診したが、同氏は辞退した。
■自民党の事情
植田教授は、金融緩和の理論派である。ゼロ金利・量的緩和政策を推進した時の理論的指導者として、量的緩和政策の時間軸効果を発明したとされる。
時間軸効果とは、日銀が政策金利をゼロ%まで引き下げた後に、更にどんな緩和策があるかを考えた時に発揮されるプラスアルファの効果の事を指す。例として、消費者物価上昇率がプラスになるまでゼロ金利政策を続ける―というコミットメント(約束)を日銀が宣言すれば、将来に亘る金融緩和の予想が醸成され、中長期の金利がその予想に基づいて低下する。単にゼロ金利にしただけでは、日銀が将来いつ利上げに転じるかが不確実なので、中長期金利は低下しにくいが、コミットメントを付す事でより広範囲に金利低下を促す事が出来る、という。
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