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聞き落とした街の声

聞き落とした街の声

鎌倉の海浜公園では、年に数回、鎌人いち場というフリーマーケットが開催されます。このイベントは年々規模を拡大し、市内各地から集まる飲食店や商品の出店、さまざまな背景を持つ人々が集います。いくつかのブースにはおなじみの顔ぶれも見られ、長年地域に根付いてきた彼らの努力とつながりが感じられます。それぞれのブースには、ただの個々の努力だけでなく、協力し合う精神が表れていて、それが年を経て少しずつ広がっているのです。

しかし、そこに出店していると知っていながら、見つけられなかったブースも多くあります。後になって、「出ていたんだよ」と聞かされ、自分が見逃していたことに気づくのです。まるで、大切な「街の声」を聞き逃してしまったかのように。

例えば、かきこまっぷという、友人たちが子育てと仕事を両立させようと努力するブースもそうでした。かつては子供たちを連れて、このエリアを歩き回りながら、仕事と家族の両立を図っていたのですが、子供たちが成長した今、同じようには見えなくなってしまったのでしょう。公園にあふれる多くの出店の中で、そのブースを見つけることができませんでした。ほかにも、プラネタリウムやこども食堂で出会ったお母さんたちが出していた店も見つけられなかったのです。一方で、同世代の友人が出していたカクテルバーや、旅行テーマの店、さらには難民支援のブースなどは見つけることができました。もしかすると、私がもう見えなくなってしまった視点や、価値観があるのかもしれません。

公園を離れる際、聞きなれない音楽が背景に流れ、見知らぬ運営スタッフから別れの挨拶を受けました。私は立ち止まり、街に潜む「聞き落とした声」に耳を傾けるべきだと感じています。


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