【第41話】沖縄本島一周編その⑦ 与那原町→那覇市
こんにちは、旅する自転車です。
沖縄一周ツーリングもいよいよ大詰め。南端を周り、遂に那覇市へと凱旋です。はたして、本島南部ではどんな体験が待っているのでしょうか…。
▼▼前回のおはなし▼▼
世界文化遺産・斎場御嶽へ
3月26日。沖縄一周を始めて6日目の朝を迎えた。そろそろ朝8時だというにのに、ゲストハウスの共用スペースに人の姿はなかった。誰にも挨拶せず、一人静かに宿を立ち去った。朝の日差しが暖かい。まずは、島南東部から小さく突き出た知念半島を海岸沿いに進む。最初に訪れたのは斎場御嶽(せーふぁーうたき)。琉球王国最高の聖地で、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に含まれる祭祀場だ。そしてもう一つの名所へ。国道331号を挟む形で斎場御嶽と対をなすが知念岬公園だ。三方を海に囲まれた小さな半島で、展望所から雄大な太平洋のパノラマを一望できた。
ニライカナイ橋に行かない?
再び走り出すとまもなく、右手の山の頂上へループを描くように延びる橋が見えた。このまま直進するはずが、何故かこの橋を登らないのは勿体無いと思い、進路を外れてヒルクライムを始めてしまった。この橋はニライカナイ橋といい、ニライ橋とカナイ橋の二つを合わせた呼称だそうだ。登り詰めた山側には展望台があり、橋の全貌を見渡すことができる。実際にはループ橋ではなく、ヘアピンカーブを描いたワインディングロードだった。しばらくは小高い丘の上を走っていたが、やがて本来の海岸沿いのルートへと戻って来た。ダイナミックなカーブを繰り返しながら、ときより青い海原を望んだ。そして到着したのが平和祈念公園だ。沖縄本島へ来たなら、絶対に訪れようと決めていた沖縄県平和祈念資料館。悲惨な戦争の歴史について、強烈に、鮮明に伝えてくれる。平成に生まれた私たちの世代にとっては、このような場所で日本の現代史を学ぶ必要があるだろう。その後、ひめゆりの塔へも立ち寄り、再びサーターアンダギーを補給して、さらに南西方面へと向かった。
最南端!? 喜屋武岬へ
国道331号を外れ、入り組んだ集落の道を地図を片手に進んでいく。そして到着したのが本島南端に位置する喜屋武(きゃん)岬だ。本当の最南端はここから南へ400mほど先に荒崎という岬があるのだが、灯台や展望台が設置され一般車両が容易にアクセスできるのはこちらなので、喜屋武岬の方が南端と案内されることも多々あるようだ。ここを自分としては最南端という事にしよう。高さ30mもの断崖から、壮大な海景を目に焼き付けた。南からやってきた海流が、岬に向かって白波を立て打ち寄せる。この絶壁は太平洋戦争時の激戦区で、追い詰められた日本軍や島民は海へ身を投じて自決した場所だそうだ。
走破!! 沖縄本島一周達成!!
最南端到達を果たしたら今日はもうノルマ達成、那覇市内へ帰還するのみだ。糸満市、豊見城市と西岸を北上したが、国道は走りやすく整備され、街並みもだいぶ都市らしくなってきた。途中、道の駅に寄り道もしたが、2時間あまりで那覇の市街地へ到着した。沖縄へ到着した5日前に通った道を、今もう一度走っている。ついに一周を終えたのだと実感した。さて、まだ18時前だ。沖縄の夕方は長い。那覇を少しだけ観光してみよう。国際通りへと訪れてみる。シーズンに比べればだいぶ空いているのだろう、それでも観光客のあまりの多さにストレスを感じ、自転車からは降りずそのまま素通りしてしまった。そして、この大都市で宿を探す元気はなかった。幸いなことに、ここから3㎞ほどの距離にネットカフェがあった。もう夕食を探すのも面倒になって、ロードサイドに見つけたすき家で済ませ、空調のキツいフラット個室で横になり眠りについた。
次回、ついに最終話。
沖縄一周ツーリングもおしまいです。
無事に足立区へ帰還できるのでしょうか!?
つづく。