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【第61話】新章開幕! 南九州ツーリング!!

みなさんこんにちは!
さあ始まりました、旅する自転車・九州編です。

時は2019年3月末。当時働いていた出版社は1〜3月中旬にかけて地獄のような激務で、残業代も出ず有休も無く馬車馬のように働いていた訳ですが、3月も終わりに近づくと仕事もひと段落ついて、1日くらいなら休める程になってきました。頑張った自分へのご褒美に、リフレッシュの休暇をプレゼント。土日にプラス1日くっつけて、自転車で旅に出かけたい。3日間でちょうど良いところ……見つけました。

ということで今回選んだのは宮崎県です。ついに九州に上陸です。お目当ては「日本の名道100選」みたいな本に必ず登場する日南フェニックスロード。太平洋に面した海岸線に、フェニックス(ヤシの木)が無数に並んでいるのだそう。ここなら3月でも暖かいだろうし、緑が乏しくても景色に影響はないはず。そしてもう一つ行きたいのが鹿児島県佐多岬。離島を除く日本国土の最南端。自転車乗りなら一度は憧れるスポットです。

宮崎南岸から鹿児島東岸にかけて、3日間で巡ってみましょう。具体的な行程は全然決めていないですが、とりあえず航空券は取れたので飛行機の中で考えることに。あとは天気にちょっと期待して……。

宮崎へ向かって

2019年3月21日、木曜日。いつもより少し早く仕事を終え帰路に着く。荷物をまとめて向かったのは成田空港第3ターミナル。翌朝の第1便とかなので前日入りだ。ホテル泊なんて勿体ないので、もちろん空港泊。入場ゲート付近に寝そべり、カッパを着込んで睡眠。おやすみなさい。翌朝は6時台の便に乗り、3時間程の空の旅へ。たどり着いたのは宮崎空港。空港を出て、重たい輪行袋を担ぎながらバスロータリーを少し歩く宮崎空港駅が見えた。ここから3駅も乗れば宮崎駅に到着という訳だ。駅ビル内の焼き鳥屋で早めのランチをとりながら、これからのスケジュールについて考える。3連休のうち前半2日間はあまり天気は良くないらしい。一方で3日目は快晴のようだ。日南海岸は晴れてなければ絵的にイマイチなので最終日に持ってきて、先に佐多岬へ向かうことにしよう。こちらは「最南端到達」の称号が欲しいだけなので、天気はマズマズでもまぁ良いでしょう。

陸上トラックの内装が印象的な第3ターミナル。駅からここに至るまでの道のりが果てしなく長い
今回お世話になったのは九州旅の強い味方、ジェットスター
地方空港でありながら鉄道駅直結という利便性の高さ
JR宮崎駅ロータリー。さっそくフェニックスがお出迎え
宮崎駅から徒歩圏内で地鶏を食べられる店はないかと探すと、駅ビルの中に居酒屋を発見!

文字通り「地道」

宮崎駅からJR日南線に揺られること2時間20分、長い鉄道旅を終え到着したのは串間駅。旅の始まりは宮崎県南端のこの街。すでに時計は13時30分を示している。まずは国道448号を西へと進む。今日の目的地は串間駅から40㎞先にある鹿屋(かのや)市だ。初日のコースとしては妥当な距離感だろう。走り出して30分もしないうちに宮崎から鹿児島への県境に差し掛かり、左手側に志布志湾の海が広がった。穏やかな水域で晴れていれば心地よい景色であろうが、この曇天の元では物寂しげに感じられた。鹿児島の東端・志布志の街を通過すると、国道220号に乗り換え。ここからは本当に、何一つ面白くない内陸の道が続いた。ただの田舎道だと思ってたら、重要な産業道路のようで自動車がひっきりなしに往来する。ときより田園風景は広がるもののロードサイドには大型商店や娯楽施設が建っていたりと、景色も救いようがない。平地と見せかけて絶妙な勾配の登りのため、MTBではスピードも全く出ず。何てことない一本道が、途方もなく長く感じられた。

JR日南線のこの古い車体が、びっくりするくらいバインバイン縦揺れした
串間駅は降りた目の前が国道220号のため、ロータリーとかはない。歩道の隅っこで輪行解除
綺麗な半円型をした志布志湾だが、県境の辺りは岩礁が広がり入り組んだ地形になっている
つまらない国道220号

陸の孤島、鹿屋はこんな街

走り出して3時間ほど、やっと鹿屋の市街に到着。鉄道のないこの街は典型的な地方の車社会のようで、国道は渋滞気味だった。今晩の宿は、街の中心から少し外れた川沿いの民宿にとった。少し時間に余裕があるので、街の様子を見学していこう。鹿屋市は今では鉄道のない街だが、昭和62(1987)年までは国鉄が通っていて、宮崎や鹿児島へ鉄道で往来することができた。鹿屋駅は廃駅にはなったものの駅舎や一部車両は記念館として保存され、当時の面影を偲ぶことができる。往時の賑わいを感じさせる元駅前通りを抜け、宿へと向かった。チェックインを済ませて部屋に荷物を置き、歩いて夕飯を探しに。ロードサイドに一軒のイタリアンを発見。Googleでも評価は高く、料理は美味しい。けど地元客が多い店内は、一見さんには居心地は良くなかった。パスタと一杯のビールを胃に収め宿へ直帰。明日に向けて眠りにつくのでした。

安心安定の量産型幹線道路
時の流れから取り残されたような雰囲気の鹿屋
国鉄時代の気動車と作業車のほか、駅名標が保存されている
古き良きムード漂うスナック街を発見
四国屋旅館。九州なのに。

明日は最南端・佐多岬へと向かいます。
玄関口にあたる鹿屋市を過ぎると大きな町はないので、ここからは厳しい行程になりそうです。
無事に「最南端」の称号を得ることができるのでしょうか!?

つづく。

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