【第59話】再びやって来た! 伊豆半島ツーリング!!
みなさんこんにちは。
今回の舞台は、伊豆半島です。
伊豆半島といえば、2017年秋に熱海から伊豆高原へ走りました。しかし有名観光地を巡っただけでは「伊豆半島を走った」とは言えません。
今回のお目当ては2つ。
まずは半島最南端の石廊崎(いろうざき)。最寄りの伊豆急下田駅からも20㎞離れた位置にあります。そしてもう一つ、半島の尾根を通る「西伊豆スカイライン」。標高は900mと程々ですが、山の稜線を通る道は草原で覆われているため、展望は抜群で太平洋まで見渡すことができるそう。絶景名道をハンティングする私にとっては、こちらがメインになります。
当時は2018年12月。年の暮れまであとわずか。これが年内最後の走り納めになります。土日を使って2日間、半島の南から西へかけて巡ってきます。さて、2018年の有終の美を飾ることができるのでしょうか。
▼2017年のおはなし▼
物語の始まりは河津、そして下田へ
今回のスタート地点は伊豆急行・河津駅。JR線・伊豆急行を乗り継ぎ、到着したのは朝8時30分。河津といえば川端康成の『伊豆の踊子』の舞台であり、河津桜でも有名ですが、ここでは特に観光はせず先を急ぐことに。駅前通りをまっすぐ進むと、間もなくして海岸へ突き当たった。国道135号、この道をひたすら南下し、まずは最南端・石廊崎を目指す。さすがは伊豆半島、もともと火山島だったこともあり、海岸沿いの道はアップダウンに富んでいる。ウォーミングアップにはちょうどいい。10時30分を過ぎた頃、下田の市街へと到着。しかし寄り道もしていられない。今日の行程は70㎞ある。下田はノンストップで通過するしかなかった。
伊豆半島最南端、石廊崎!
下田以南では、道路の起伏は比較的穏やかだった。国道135号から県道16号へ分岐し、青野川の下流へ向かって2.5㎞進んだところで、ロードサイドに建つレストハウスを発見した。アップダウンで想像以上にスタミナが消耗されたのか、お腹も空いてきた。まだ11時30分だが、キリがいいのでお昼ご飯にしよう。サザエ丼をいただき、ひと休み。ここから石廊崎までは5.5㎞。30分ほど走ると岬の駐車場へ到着した。突端へ向かい遊歩道を進んでいくと、石廊崎灯台が見えてきた。この先にも道は続いており、断崖に沿って階段を降りていくと石室神社の社殿、さらに進むと最突端には熊野神社の祠が建っていた。この岬から見られるゴツゴツとした奇岩群は海底火山の溶岩流によるもので、伊豆半島を特徴づける荒々しい海岸の景観が広がっていた。
道のり険しい西海岸
石廊崎を去ったは13時前。1日で一番暖かい時間帯ではあるものの、12月ということもあり太陽は西に傾き始めていた。ここから半島の西側を北上することになるのだが、西岸はアップダウンが半端ない。今日のお宿は40㎞先にある西伊豆町にとった。距離こそ大したことないが、上りの合算は750mを超える。日没は16時、できればナイトランは避けたい。これはハードなコースになりそうだ。そして石廊崎を出発して1時間あまり、薄々気づいてはいたが、お腹が空いてきた。半島南部からゴールにかけて西海岸にはコンビニが1軒もない。ちゃんと補給を買っておくんだった……。後悔しても後の祭り。今は前進するしかない。黄金色の日差しを受けながら、黙々とペダルを漕ぎ続ける。何度目の登りを越えただろう、展望広場の脇に小さなレストハウスを発見した。なんと幸運なことだろう。閉店ギリギリに滑り込み、一杯のラーメンを注文した。
タイムリミットは日没!!
展望台からの景色はとても美しかった。壮大な断崖、果てしない海原、そしてオレンジ色の夕陽……。夕陽!? あれ? マズイぞ、ということはもう日没。現在15時19分、刻一刻とタイムリミットは迫っている。目的地の西伊豆町の手前4㎞地点には松崎町があり、この間はアップダウンなしの海沿いの平地らしい。つまり松崎町にさえ着いてしまえばゴールしたも同然という訳だ。山を下り、海岸沿いの上り坂を越えた時、道の向こうに港町が見えた。「松崎町に違いない!」。日没の前に何とか間に合った! だが町へ下りた時、違和感に気づいた。明らかに町の規模が小さい。googleマップを確認する。この場所は何でもないただの集落だった。松崎町は4㎞先、87mのアップダウン。それ自体は気合いで何とかなるが、問題はナイトランの方だ。一切の灯りのない断崖の道は危険極まりない。暗がりの中を進み宿を目指した……。
崖の上から街灯りを見つける。今度こそ松崎町で間違いない。安堵を覚えつつも細心の注意を払いながら真っ暗な坂を下ると、町に到着。わずか20分間のナイトランが、途方もなく長く感じた。
住宅地の片隅にひっそり佇む民宿。
小さな湯船と柔らかい布団、これだけでもう幸せだ。
明日に備えてもう寝よう。
おやすみなさい。
次回は、西伊豆スカイラインを登ります!
つづく……。