【第52話】三県境に行ってみた
こんにちは。
9月の下旬、暑さも和らいでサイクリングが捗る季節になりました。
どこか遠くに行きたい! でも泊まりの日程も組めない!(有休を使い切ってしまった為)
東京の近郊で、面白い場所はないだろうか……。
伊豆や房総に行けば綺麗な海は見られる。
群馬や栃木へ行けば壮大な山は見られる。
……しかし日帰りでは難しい。
広すぎる関東平野が、東京という街を海や山から遠ざけてしまっている。
まずはこの平野を突破しなければならない。
いや待てよ、それなら関東平野で新しい名所を発掘したらどうだろうか。
身近な場所で面白いスポットを発見できるかもしれない……。
そこで焦点を当てたのが、栃木県・群馬県・埼玉県の3県からなる「三県境」だ。全国に40か所以上ある三県境は基本的に尾根や河川にあり到達が難しいが、この場所は唯一、平地にあり簡単にアクセスできるらしい。県境と聞くだけで皆さん行ってみたくなるでしょう。それが3県も同時に味わえるのだから、想像しただけでも興奮してきますね。
そして、そのすぐ近くにあるのが渡良瀬遊水地。上空から見るとハートのような形をした、日本最大の遊水地だ。広大なこの土地なら、首都圏らしからぬ大パノラマが拝められるかもしれない。湖か、あるいは湿原か……。想像は膨らむばかりです。
2つの場所を訪れて、実際はどうなっているのか確かめてみたいと思います!
スタートは栃木県・足利市
ということでやって来たのは、なぜか東武伊勢崎線・足利市駅。三県境へ行くだけではコースとして成り立たないので、走行距離を伸ばすために足利からスタートすることにしたという訳だ。足利を選んだのには特に理由はなく、東武特急りょうもう号に乗りたかったぐらいだった。足利市駅はそれなりに大きくバスロータリーも整備されていたが、レンタカーと銀行が建っているくらいで残念ながら賑わっている様子はなかった。北口へ降りると土手が目の前に立ち塞がり、そこに渡良瀬川が流れていた。鉄橋を渡り、まずは観光名所のひとつ鑁阿寺(ばんなじ)へ。続いて足利学校へ足を運んだ。こちらは日本最古の学校で知られる名所だが、入館料がかかる。たったの420円。財布が開くことはなかった。足利の街には満足したので、次の目的地へ向かうことにした。
渡良瀬遊水地は“名所判定”出るか!?
足利の市街を流れる渡良瀬川。東へ向かってペダルを漕ぎ進めた。川の景色というのは特に面白くもない。田園の中に住宅や工場が建っている風景は、どこへ行ってもそう変わらないだろう。利点といえば、車や信号ストップがなくサクサク進めることだ。しかし川堤のサイクリングロードで道を間違え、30㎞の道のりに2時間を要してしまった。こうして次の目的地、渡良瀬遊水地へ到着した。ここはどんな場所かというと、人工的に整備された33㎢にも及ぶ広大な遊水地で、その豊かな生態系から2012年にラムサール条約に登録されている。3月には野焼きが行われるため、樹木はほとんどなく基本的にヨシの野原が広がる。3つの長調節池を区切るように道が通っていて、自転車で走るのにはぴったりだった。さて、肝心の景色はどうだろうか。一面、草。とにかく草。……別にどうってことはなかった。景色はどうかと聞かれれば、良いとも悪いともいえない、「普通」なのだ。写真の上手い撮り方によっては、北海道のどこかの原野のようにも見えるかもしれない。もちろん自然環境としての価値は優れているのだが、景色だけ見た場合はオススメできるものではなかった。“名所判定”は残念ながら出ませんでした。
はい、これが三県境
渡良瀬遊水地の後は本日の目的地である三県境へと向かった。どうやら分かりにくい場所にあるらしく、道に設置された小さい誘導看板に従って住宅地を進んで行った。すると見晴らしの良い田んぼに突き当たった。この場所が三県境だ。ちょっとした観光名所になっているみたいで、駐車場や歩道が整備されており、何組か車での観光客の姿も見られた。県境の様子はどうだろうか。幅30cmほどの水路が境界になっていて、「栃木県」「群馬県」「埼玉県」の立札が設置されている。手書き感あふれる看板には、読みにくい文字で解説がされていた。ただそれだけだった。……これはどうだろう、全然おもしろくないぞ。国内唯一、平地の三県境という点ではユニークだが、わざわざ足を運ぶほどの場所ではなかった。まあ、それも訪れないとわからないので、確認することができて結果よかったのだろうか。何の達成感も得られず、最寄りの柳生駅から輪行して帰ったのだった。
三県境サイクリング、今回は珍しく「不可」。
関東平野で面白いツーリングスポットを見つけるという目的は達成できませんでした。
やはり山へ行くしかないな。
次回、ツーリストに大人気の、あの高原を走ります。
ではまた。