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狐塚冬里
2016年5月3日 14:00
何も考えないように生きてきた。生まれついた時にすでにこのように定められていたのだから、自分がどう思おうとどうしようもなかった。ただひっそりと目立たぬように、人を避け、夜を避け、景色に混じり込むようにして生きてきた。生き方そのものが決まっていると、不満というものもさほど感じなかった。それなのに、それは起こってしまった。──このクラスの中に、人狼がいる。俺の牙も、爪も、血に濡れてはいな