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2017年7月の記事一覧
十四話 海に贈る花束
「ああ、やっと見つけた。随分と探したんだよ?」
土を踏む複数の足音に、ユーリは手にしていた花の苗を手にしたまま振り向いた。教会の脇道から歩いて来る男は、目が合うと聖母のような柔らかな笑みを浮かべる。
周りにいた子供たちも侵入者に気づき、走り回るのをやめた。
鴉の濡れ羽色の髪に、黒曜石のような瞳。
人形のように美しい顔をしているのに、その男は人に憧憬ではなく不安を感じさせた。
人間は左右対称のも
「ああ、やっと見つけた。随分と探したんだよ?」
土を踏む複数の足音に、ユーリは手にしていた花の苗を手にしたまま振り向いた。教会の脇道から歩いて来る男は、目が合うと聖母のような柔らかな笑みを浮かべる。
周りにいた子供たちも侵入者に気づき、走り回るのをやめた。
鴉の濡れ羽色の髪に、黒曜石のような瞳。
人形のように美しい顔をしているのに、その男は人に憧憬ではなく不安を感じさせた。
人間は左右対称のも