その日は突然やってきた〜母へのカミングアウト〜
こんにちは、豆乳きな子です。
恋人との日々はとても穏やかで、就活や未来の選択で悩んでいる今日この頃です。
さて、突然ですが母にカミングアウトをしました。
というか、させられました。笑
しかも対面ではなく電話で。
なかなかに予想外な展開だった母へのカミングアウト編です。
親へのカミングアウトに悩む誰かの、すこしの参考になれば幸いです。
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足音もなく突然やってきたその日その時
私と母は日頃からよく連絡をとっている。
LINEのメッセージだけでなく、電話もよくする。
いつものように就活の進捗を話していた電話で、母が私にこう聞いてきた。
「最近気になっていたんだけど、きな子ってそう(セクシャルマイノリティ)なの?」と。
わたしはカミングアウトを表情が見える状況で直接しようと思っていたから、「電話じゃなくてちゃんと会って話したいんだけど?」と言ったが、母は引き下がらなかった。終わってみて思うのは、これが母のタイミングで、きっと顔を突き合わせて話すよりもきっと楽だったのだと思う。
まず、勇気をだして聞いてくれた母に感謝したい。
きっと私からは言えなかったと思う。
まさかこんなに早くカミングアウトすることになるとは。
母とは私自身がパンセクだと自認する以前からLGBTQの人々への認識で口論になったことがあったから、恋人と一緒に暮らすとかパートナーシップ制度をとるとか大きな決断がない限り言えないと思っていた。
母に拒絶されるのが、気持ちわるいと思われるのが、怖かった。
母がこのとき私に「そうなの?」と聞いたのは、「これまで私(母)が発してきた言葉でもしかしたら我が子をものすごく傷つけてきたのかもしれない」と最近考えるようになったからだという。
正直、この言葉でもう泣きそうだった。
あれだけセクマイに対して古い考えをカチカチに持っていた母がどうしてこう思えるまでに変わったのか、とても気になるところだ。
わたしがなにであるか
引き下がらない母に、私は打ち明けることにした。
「ママが想像している同性愛者にも、LGBTの頭文字にも当てはまらないの。Bはバイっていって、どちらもスキになれるんだけど、私の場合はパンセクシャルといって、好きになるひとの性別が何であるか、重要じゃないんだ。スキになったひとが好きになった人で、あらゆるセクシャリティの人をスキになる可能性をもってる。」と説明した。
「いつ気づいたの?」と聞かれたので、「約半年前、旅に出ていたときに女の子を初めて好きになった」と答えた。そして私が香港に会いに行ったスキだったひとが実は女の子だったことも打ち明けた。母は驚いていた。私が好きな人に愛に国境を渡ったことを母は知っていたから。そしてなんの疑いもなく、母はその相手を”男性"だと思っていた。まあ、そうだよね(笑)
その香港の好きな人の写真を見せてと言われたときも、女の子だったから見せることができなかったことも話した。
そして母は「会いに行くくらいスキだったんだね」と言ってくれた。
予想外の母の言葉に、私は泣きそうだった。
母からのクエスチョン
「これから男性をスキになる可能性もあるの」とか「女性のパートナーと生きていきたいって思ったとき、子どもはどうするの?」「きな子は子どもを産みたいと思ってるの?」といろいろと聞かれた。
なかなかにぶっこんでくる母だと思う。笑
これから男性をスキになる可能性もあること、女性のパートナーとの結婚等を考えたとき子どもをもうけるかどうかは今は答えられないこと、私自身はいつか子どもを産みたいし母になりたいことを丁寧に話した。
男性を愛し愛され結婚し、自然の摂理にまかせて子どもを授かり母になる私の未来しか考えていなかった母には、ショッキングだっただろう。
実際に、悲しいという意味ではなく衝撃という意味で”とてもショックを受けている”ということはわかってほしいと言われた。
それはそうだと思う。ショックを受けないほうが心配になる。笑
恋人のこと
そしてもうひとつ打ち明けたこと。
現に私には恋人がいるということだ。
そしてその人は"男性”ではないということも。
XジェンダーとかFTMという言葉を母はきっと知らないので、恋人の生まれ持った性は女性で、でもずっと違和感を持って生きてきたことやホルモン治療等を考えていることも話した。
いま私に"男性"ではない恋人がいることは本当にショッキングだったと思う。でも、今言わないと言えない気がしたから言うことにした。
そして「そういうこと(セックス)をするの?」と聞く母に私は吹きそうになった。そんなことまで聞いてくる母がすごい。笑
正直に「するよ」と答えると「いいの?」と聞いてきた。
なんだか恥ずかしくなった。
母にとって同性同士の恋愛というのは”そういう”イメージがとても強いみたいだ。"恋人同士"とか”愛の形”よりも、”禁断のちょめちょめ”として描かれてきたから、母世代にはやはり目をパチパチさせるような刺激的というかインパクトの強いものだったのだろう。
母の捨てきれない”希望"
この頃ドキュメンタリーや報道を通してLGBTQへの理解を少しずつ深めていた母。
「ひとやカップルの数だけ、形があるんだと思えるようになってきた」んだという。それを思うとき、最近特にLGBTQ関連のトピックについていろいろと言っている娘が”そう(当事者)”であるかもしれないと気になりだして、聞いてきたみたいだった。
でも、やっぱり、「"いわゆる普通"の恋愛と結婚をして、きな子が男性に愛され守られ、そして子をもつ」ということへの希望は捨てきれないと言われた。その希望を捨てきれないこともわかってほしいとも言われた。
痛いほどわかっていた。
カミングアウトする前から、その期待がとても大きいことも知っていた。
だからこそ、言えなかったのだ。
いまの恋人と歩いていきたいと思ってる。
だけどわたしたちは二人だけでは新しい命を宿すことができない。
一番恐れていた母へのカミングアウトをしてみて
嗚咽がでるくらいにガチガチに緊張してするんだと思っていた。
なんの心の準備もなくすることになったカミングアウトに、なんだか拍子抜けした。
そして想像していたよりも母の反応は優しかった。
もちろん捨てきれない希望やまだまだ理解してもらえないことは多いけど。
でもそれは当たり前のことだと思っている。
なにより、「これまで私(母)が発してきた言葉でもしかしたら我が子をものすごく傷つけてきたのかもしれない」とぐるぐると考えていた母に本当に感謝したい。
カミングアウトしてからまだ母に会っていないので、次回直接会うのがすこし怖いくらいだ。
父や弟へはまた”そのとき”が来たら言おうと思う。
そしていつか家族に「この人が私の愛おしくてとても素敵な恋人なの!」と紹介できる日がくれば良いなと思う。
そんな日を迎えられるように恋人との関係を深めて、そして母ともゆっくり向き合っていこうと思う。
突然やってきた"その日"は、思いがけない”前進”でした。1マス進むどころじゃない、10歩とばしみたいなそんな感じ。
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5.24
これを読む誰かがカミングアウトについて悩んでいるなら、「急がなくていいし、無理にしなくてもいい」と伝えたい。私のように予想外なとこから降ってくることもあるということ。親の育て方が間違っていたわけでも、何かがオカシイわけでもない。
生まれたときから、あなたはあなただったはず。
だから、大丈夫。大丈夫だよ。言っても言えなくても、大丈夫。