(1)事の始まり #IPMN
一枚の紙
2021年末、「健康診断の結果が返ってきたよ」と夫。
「どうだった?」
「概ね異常なし。だけど、こんなの来た」と、紙をピラっと机に置いた。
なになに?
『胸部CT検診報告書』
「胸部」とあるぐらいだから、要するに、レントゲンよりも詳しく肺を調べるためのもので、今回、夫が初めて気まぐれにオプション追加したものだそうだ。
その結果、肺には異常なし、心血系にも異常なし。
ただ、
「膵臓の膵頭部に嚢胞性病変を認めます。一度精密検査を受けてください。」
とある。
膵臓?
嚢胞性病変?
何それ。
嚢胞ってどこにでもできるよね?
その記述からはそれほどの切実性は感じられず、
「嚢胞ってどこにでもできるよね?私は胸にあるし、喉にできた時は三回も病院に行ったけど、放っておけと相手にされなかった」
たいしたことはない。
そう思いたかった。
だが、「膵臓」というのが気になる。
個人的には、膵臓といったら、何かあった時にはもう手遅れという怖いイメージがある。
試しに、「膵臓」「嚢胞」「嚢胞性病変」などで検索してみると、出てくる出てくる、怖い情報が。
どうやら膵臓の嚢胞は、他の臓器にできる嚢胞とは違って、よくよく気をつけなければいけないものらしい。
「とにかく、年が明けたら、すぐ病院に行こう」と、呑気な夫を急かす。
「精密検査を受けてください」とあるのだから、やはり受けるべきだ。
地元のクリニック&MRI
正月休み明け早々、地元の評判のよいクリニックへ。
健康診断の結果を見せると、
「そんなに心配することはないです。恐らく良性の嚢胞だと思いますが、ごく稀にがん化することがあるので、まずはMRIを撮りましょう。」ということに。
MRIの結果、嚢胞が1mmとか2mmであれば、ほとんど問題はないらしい。
だが、夫の場合、なんと45mmもあった。4.5cmである。
膵嚢胞は、大きさが3cmを超えると要注意なのだそうだ。
そこで、より詳しい検査が必要ということになり、造影CTおよびEUSという特別な内視鏡検査ができる大学病院へ行くことになった。
クリニックの医師曰く、
「大きい=悪性というわけではないので心配しないでください。まず大丈夫ですから。」とこちらを安心させるようなことを言ってくださる。
恐らく心配していたのは私だけだと思う。
夫は、こういう時でも「なるようになるさ」の精神で、あまり動揺しない人なのだ。
それが助かるといえば助かるが、心細さは私一人で抱えることになる。
→(2)に続く
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