「気が強く、少しの汚れも見逃さず掃除をし、努力を怠らぬ美人」という思い込み
いつものおひるどき。
テーブルについた夫の姿勢がやけにいい。
「どうしたの?背筋ぴん!と伸ばしちゃって」と言うと、
「だって車田さんがさ、芸術家はふだんの振る舞いからして芸術家だっていうから。マリアカラスは、歌はもちろんだけど、舞台に立ってないときも芸術家としてのオーラがすごかったんだって!」と言う。
車田さんというのは、オペラ歌手の車田和寿さん。
夫が最近、そのYouTubeにはまっている。
私が今までさんざん、「背中ちゃんと伸ばさないと、どんどん丸まっちゃうよ!」と注意しても、歌の先生に、「日頃からいい声で話し、いい姿勢でいなさい」と言われても効果なかったのに。
車田さんの一言が効きましたか!
夫につられてYouTubeを見てみたら、これがとっても楽しい。
音楽(主にクラシック)をわかりやすくユーモラスに語り、教えてくれる。
毎回最後に「もぐもぐタイム」があるのも愛らしい。
かのウィルヘルム・ケンプ氏についての解説なんて、「そうそうそうそう!」と言いたくなる的確さ。
ケンプ先生・・と私が呼ぶのも、私が師事していたピアノの師がケンプ氏の指導を受けていた人で、ざっくり言えば、私は孫弟子にあたるから。
ざっくり言えば、ね。
師の教えは、車田さんがいうケンプ氏の演奏の特徴そのもので、口うるさく言い聞かされてきたから忘れることはないし、今でも私が弾くとしたら、その教えに忠実に弾くことになる。
車田さんがいくつか「名曲」を紹介してくださっていて、弾いたことのある曲、弾いてみたいと思っていた曲を思い出してしまって、三十年ぶりにピアノ欲が蘇ってきた。
というより、元々ピアノが好きという気持ちはあまりなかった(スパルタ恩師にしごかれて、必死に食らいついていただけ)ので、素直にピアノを弾きたい!と思ったのは、おもちゃのピアノを自由に弾いていた時以来かもしれない。
耳の不自由は想像力で補うしかない。
記憶の中の音を再生して。
夫は、「常に芸術家のつもりで」生活することによって、自分の歌い手としての能力をアップさせたいと考えている由。
大事なことだ。
※夫は月に1、2回、ジャズを歌っている
こういう思い込みって大事。
なので、私はしばらく、
「気が強く」
「小さな汚れも見逃さず掃除をし」
「努力を怠らぬ美人」
なつもりで過ごそうと思う。
なんだか統一感のない思い込みだけれど、いいの。
私一人が思い込んでいればいいことだから。
がんばろう。
とりあえず練習を始める曲
ショパン ノクターン遺作
ラフマニノフ 前奏曲 Op.3-2
シューベルト 即興曲 Op.90-3
(Op.90-4を小学校5年生ぐらいで弾いているんだけど、再び弾けるようになる気がしない・・・・)