【実証】AIにデザインは可能か?
この記事を書いている2021年4月現在、デザインができると謳っているAIのサービスはいくつかあります。現状は海外発のロゴマークデザインができるものがほとんどのようです。私自身は将来的にAIがデザインできる時代は来るのではないかと思っています。実際に一つピックアップしてデザインAIの現状を試してみます。
ロゴデザインAIのラインナップ
この他にもいろいろあるようですが今回はこのLogoponyを試してみます。
Logoponyを試してみる
さっそくやってみましょう。はじめに会社名を入れるようです。「宮崎デザイン事務所」と入れてみます。
次は「個人用途」なのか「ビジネス用途」なのかを選択。もちろんビジネスです。
次は、アイコンを選択するようです。5つまで選べるようですが、これは最終的にどういう結果につながるんでしょうね。これがそのままシンボルマークとして使われるようなお粗末な仕様でないことを願うばかりです。
アイコンを選び終わったら、色を選ぶようです。そもそも私達みたいにロゴデザインを提案する人たちは色の意味なども含めて作成します。自分で選ばせる場合、単純に好みで選ぶことになりそうですがいいんでしょうか。今回は適当に赤っぽいのを選びました。
もう少しですよ!的な感じです。会社名の下にスローガンを入れる部分があるので「経営のとなりにデザインを」と入れてみます。
「Create my logo」とあるので、ここを押せばロゴができる!のでしょうか。ポチ。
できたようです。しかしながら日本語ではだめだったようですね。文字化けしています。海外のサービスなのでこのあたりは当然といえば当然でしょう。
気を取り直して英語表記で再チャレンジしてみました。結果は。
途中、懸念していた「選んだアイコンがシンボルマークに」が現実のものとなってしまっていました。残念です。マーク、色そのものに選んだ意味はないので全く意味のないできあがりになりました。
デザインのクオリティも決して高くないので、いまのところ、みなさんにおすすめする理由もないですし、私自身が使うこともないでしょう。
そもそも、入力した情報の何を判断してロゴを作っているのか謎です。これがAI?と思ってしまいます。選んだアイコンとカラー、入力された文字列をランダムに組み合わせればできあがるようなサービスでした。これならAIを使わずしてもできそうな気もしますが。
AIにロゴデザインはまだ早い?
そもそも、私たちデザイナーはクライアントからヒアリングした情報をもとに「マークのフォルム」「イメージカラー」「タイプ(文字)」「それらが含む意味」「視認性」などざまざまな観点からデザインを行い”提案”します。今回使用したデザインAIは、マークのモチーフやカラーリングなどは選択式になっていて、AI側からの”提案”はありませんでした。
今回試したデザインAIが非力だったのかもしれませんが、生身のデザイナーがやっているようなデザインはAIには無理なようでした。
AIにはできないデザイン
AIにはできないデザインの例として当社の実績をひとつ紹介します。
宮城県仙台市を拠点に企業のコンサルティングを行う「株式会社funaku」のロゴです。社名の由来は「世の中から『不』をなくす」という思いからきています。ロゴの提案の際、これ以外にもいくつかのパターンを作成していますが、採用されたこのデザインのモチーフは逆さまになった「不」です。不が逆さまになり、青空に向かって広がる樹木のイメージをデザインにしています。
よくよく作ったデザインを見直すと、デザインってダジャレみたいなもんだな、と思いつつも、こうした考え方でAIがデザインすることはなかなかできないのではないかと感じています。Logoponyのように既存のパーツを組み合わせるのではなく、特別な意味をもったシンボルをゼロから作り出すことこそがデザイナーの果たすべき役割だと考えると、デザインの世界においてはまだまだAIが人間の思考に追いつくには時間がかかりそうです。
AIにできそうなデザイン領域
デザイナーたちは、ロゴデザインに限らず、アイデアを考えるときいろいろな発想法を使っています。それぞれのデザイナーが使いやすいアイデアの導き方があります。メソッドとして明確に組み立ててはいないものもあるはずです。当社もいくつかの発想方法を用いてアイデアを生み出しています。見つけ出したアイデアを図案化しアウトプットすることでデザインとして作成をしていきます。
AIにはデザインとしてアウトプットする手前のアイデア発想まではできるのではないかと思います。デザイナーのアイデア発想は、決して思いつきによるものではなく、かなりロジカルな考え方です。パターン化していければAIとして構築して利用することは可能でしょう。
AIがデザインのすべてを行ってくれるのはだいぶ先だと思いますが、デザイナーをサポートしてくれる時代はすぐに訪れるのではないでしょうか。
ロゴデザインでお困りの方はご相談ください。
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