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占い鑑定における枠組み設定とは〜心理学観点からみて〜

心理学用語で「枠組み」という言葉がある。治療構造とか、限界設定ともいう。(限界設定はもともと境界例人格障害の治療から出てきたので、使用する内容が若干異なる)占い師が占いを通じて、依頼者にアドバイスをするという相談の場であるならば、当然、この「枠組み」がどれだけしっかりできているかということになる。そしてこの「枠組み」は依頼者とまた占い師本人を守るためにあるのである。

枠組みにおいては以下となる。順番に占いに当てはめてみよう。

時間の制限

これはプロ占い師の場合は、きちんと時間制限を設けている場合が多い。アマチュアや無料占い、占い駆け出しや初心者さんで、「相談が延々と続いて疲れてしまった」というのは、この時間の制限をしっかり枠決めしていないせいである。例えば、メール鑑定でいつまでも何往復も相手からの質問に答えていたり、電話鑑定で最初に何分と決めているのに延長料金をとらずに話を聞いていたり、対面鑑定で制限時間を越しても話し続ける依頼者を断れずに無料扱いで話を聞いたりすることをさす。時に私が以前よく聞いていたツイキャスの占い枠でも、無料で延々と相談を聞いていたりして、趣味として楽しむ程度とはいえ、やはり占い主が攻撃的になっていたり、依存的な依頼者ばかりで占められていたりして、聞いているにハラハラすることは多かった。

また上記は1回の相談時間のことだけを示したが、それだけではなく、時間をおかずに鑑定依頼をしたり、毎日鑑定依頼をしてきたりする場合にも、しっかりと断ることができるか、という話である。もちろん、カウンセリングのように週1回この時間に会いましょうという場合と異なり、依頼者が占いを必要とした時に占いに来るわけで、その時点で枠がないといえばない。だからといって、安易に同じ質問を毎日、毎日受けているならば、それは依頼者から思考力を奪い、依存させているだけである。私の場合は、最低1け月は空けてもらい、占いではなく不安が高まってしまいどうしても話を聞いてほしいという際には、お話だけを聞いてアドバイスなどで終了とする。この場合は、鑑定依頼があってもお断りする。これは、依頼者に依存への耐性をつけてもらう為にも有効である。もちろん、毎日鑑定依頼を受け続けることによって、その依頼者の弱い自我に寄り添い、育てていくという考え方もあり、これはその占い師がどれだけ意図してそれができるかによるだろう。

場所の制限

これは、特定の場所において依頼者と会うことで、チャットやメール、電話ならばネット環境、対面ならば対面鑑定場所に限定される。これが個人のサロンが自宅と兼用ならば、そのプライベートと鑑定場所の区切りをしっかりできていることが要であろう。もちろん、依頼者の自宅にいくこともあるが、鑑定場所以外で依頼者と接触することが限りなく少ないことが良いと思われる。ちなみに私は、対面鑑定室において、依頼者が容易に鑑定側の私の方にこれないように調度品を置いて、場所を工夫している。(区切り、境界)鑑定場所においても、その空間に依頼者が来た時点で、鑑定者の枠の中に入っているという空間づくりや雰囲気づくりは重要だと思う。

料金の制限
決められた料金で相談を受けることを指す。占い業界における価格設定は、ピンキリであり、業界的に指針がないことも非常に障壁であるが、少なくとも踏み倒しされない工夫は必要だろう。反対に、返金が個人の裁量においては可能なのが、いいところだと思う。滅多にないが、鑑定に不満だったり、納得がどうしても行かないという依頼者もいる。その場合には、料金をもらわないという手法があるようだ。これは医療機関や精神心理の治療においては存在しないので、双方が納得して金銭授受ができるというのはいい仕組みだと思う。

人の制限

基本的には、一期一会であり、リピーターさんにならなければ、依頼者は次からどの占い師を選んでもいいので、人の制限(この人が基本的に担当する)ということはあてはまらない。つまり、相談内容がそれだけカジュアルなものだということである。(治療ではないということ)

攻撃・不法行為の制限

例えば、チャット鑑定や電話鑑定で攻撃をされた、対面鑑定で暴力行為やそれに近いことがあった、器物を破損される、そういった行為は絶対に容認してはならない。これが治療行為であるならば、それを容認しない、禁止しつつ、本人がそれに至る状況を共に振り返ることが可能だが、占い鑑定の場合は、次の面接の約束というものがない。ここは非常に大きな違いである。なので、泣き寝入りせず毅然とした対応が必要かと思われる。

上記の項目をざっと見渡して貰えばわかると思うが、すべてにおいて

制限

という名がついている。自分と他者との境界をはっきりさせることと、ここからはNo!ということをしっかりと言えるのかどうか、ということが要かと思う。誰にでも好かれたい、人に嫌われたくないという思考にはあまり向かない。

つらつらと書き連ねたが、これはあくまでも私自身が自分の鑑定の枠組みとしていることであり、こうでなければ、とか こうあるべき、というものではない。もちろん他者に強要するものでは全くない。自分自身の思考整理として述べたものであることを強調しておく。

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