関東大震災から100年
大正12年(1923) 9月1日に発生した関東大震災から100年。死者・行方不明者は約10万5千人ともそれ以上とも言われます。改めて、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
当山の先代住職は当時、日本橋茅場町に住していました。 地震が発生した時は14才。 隅田川を避難する渡し船があり、すでに満員でしたが、それに飛び乗ったと聞きます。船頭に「女子供が優先だ、もうお前は大きいから降りろ」と言われたもののしがみつき、船は出発。残された人々は亡くなったと聞きます。生死を分けたのです。「あそこで船に乗らなければ命はなかった」 と、この話は何度も聞かされました。
大災害のみならず、一つの判断が生死を分けたり、明暗を分ける事はあります。今なにをするか、この道を右へ曲がるか?左へ曲がるか?そうした何気ない判断の連続が、今ここに生かされている私へと繋がっています。そう考えると改めて今日無事であることが有り難いと思えて仕方がないのです。
故人を供養する、慰霊するという事は、とりもなおさず生かされた命に感謝し、自らの精進の念を新にするという事なのでしょう。
(副住職 記)