離島甲子園試合前日、七夕の神様に祈った日
昨日(8月21日)夕方、開会式が行われた全国離島中学校野球大会。
通称、『離島甲子園』。
こんな大切な日に、航空会社の「乗務員の手配不可」で鹿児島からの飛行機が欠航した。
全員揃うはずの開会式に間に合わないチームがあるなんて……。
楽しみにしていた子供たちのことを思うと胸が痛い。
市内の開会式を見に行くつもりにしていたけれど、ここ宇検村からは、車で1時間はかかる。開会式後の試合は無いしと、開会式へ行くことは諦めた。
急遽船に変更して遅れてやって来るチームが、いったいどんな状況か。
そっちが気になってしまってしょうがない。
初日の第一試合だったチーム。
トーナメントについては対応策を練られて、試合組合わせ変更となったようなので少しは安心したけれど、明日の早朝、船で到着してすぐに球場に駆け付ける球児たちを、全力で応援する以外にもう何があろう。
そんな思いで前日の準備を少しだけお手伝いしていたら、宇検村内の湯湾やさきばるエリアでは、大会の準備をするトラックに紛れ、長い笹を積んだ軽トラックが走り抜けた。
そう、試合初日は、旧暦の七夕。
ほぼ全ての暦を旧暦で祝う島。
『それどころじゃないのよ』的な、本家の方々。
生まれも育ちも大阪の私は、新暦も、旧暦も、祝う派になっているので、
とにかく何かしら毎月イベントがあるようになった。
本家のご家庭では、昨日から七夕飾りの作成に余念がなかった。
昔から変わらずに、折り紙で様々な飾りを作って笹に吊るし、短冊に願い事を書く。
祈りをかけた後、今年の飾りは燃やしてしまうのだけれど、
燃やす前に、笹の枝の一部を利用して盆提灯を吊るす「枝」として用いる。
そして月末のお盆には、その笹の枝にかけられた提灯が、ご先祖様をご案内する送り火の提灯行列となる。
脈々と、伝統的な風習のあるエリアが未だ残る村。
笹を全く飾らないエリアも多い奄美大島。
地域によって、その風習、カラー、言葉、祭りの踊りも異なる。
様々な地域の中から、宇検村の球場に割り当てられたいくつかのチーム。
その中の第一試合の選手たち。
昼からの試合に変更されたことで、少しは休めるといいのだけれど。
どうか、遅れて来る彼らが慌てず、焦らず、力を発揮できますように。
無事に到着しますように。そんな祈りを笹に込めた。
大変な思いをして到着するチーム名は「宮古島アララガマ ボーイズ」。
宮古島の方言で、アララガマとは「不屈の精神」、「負けてたまるか!」と言う意味らしい。
その名の通り、きっと、不屈の精神を持った選手たちのはず。
試合が終わったら、球場だけでなく、その夜空や、月や、風習を目にできるといいな。
奄美のクロウサギにも出会えるといいな。
クッカル(アカショウビン)の鳴き声を聞けるといいな。
でも、草むらには入らないでね。
ハブが隠れているからね。
だから道は端っこでなく、真ん中を歩いてね。
宇検村の沢山の人たちが、影ながら君たちを見守っています。