自作詩朗読「アネモネ」 冬美絶海 2024年4月22日 05:32 アネモネ音もなく痩せた風はみなしごのようにひもすがら砂埃と戯れる遥かな日に焼き滅ぼされた街の片隅崩れ朽ちたビルの瓦礫の陰で永劫の眠りからふと目を覚まし咲いたアネモネ死女のまなこはまるであのときのまま致命的に流し尽くした鮮血のドレスにその小さな顔を浮かべてもう何にも見ていないまるい無垢の瞳が青空を探している窓のない部屋の白い壁も君を圧し潰す天井も震える手にナイフを握って恐怖と憎悪に歪んでいる目の前の男の顔人類のかなしい顔も赤いアネモネ死女のまなこはまるであのときのままもう何にも見ていないまるい無垢の瞳が彼方を探している #詩 #文学 #朗読 #音声