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高い方がイイ?配当性向の定義とその見方

企業への投資を検討する際に見ておきたい指標の一つとして、
配当金や配当利回りがあるかと思います。
それと同じくらい大事な指標に『配当性向』というものがあります。
株主への還元度を表す配当性向ですが、この値は高いほどイイのでしょうか?それとも低い方がイイ?

配当性向とは何かを紐解きながら見ていきましょう

配当性向とは

配当性向は企業が稼いだ利益をどれだけ株主に配当として還元しているかを表す指標で、以下の式で表されます。

配当性向の定義(1株当たり)

配当金支払額が増える、もしくは当期純利益が減ることで配当性向は高くなります。
逆に、配当金支払額が減る、もしくは当期純利益が増えることで配当性向は低くなります。

2022年3月期の日本の全産業における配当性向の平均値は33.08%となっています。
稼いだ利益の3分の1くらいを株主に還元しているようですね!

『2022年3月期決算短信集計【連結】《合計》(市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQ)』より( https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/nlsgeu000006gh3f-att/renketsu_goukei2022_3.pdf

配当性向から考えられること

では、ここで本題。
Q.配当性向は高い方が良いのでしょうか?

A.一概に高ければいいとも言えないし低ければいいとも言えない

先ほどの式でも見たように、企業が儲けた純利益をどれだけ配当に充てたかを示すのが配当性向だと思うと
配当性向が高い方が株主へ還元しているから良いとも考えられます。

ただ、企業はより成長し、利益を上げ続けていくために、研究開発費や設備投資といった投資も行っていく必要があります。稼いだ利益をあまりに配当金にばかり費やしてしまうと、これらの成長のための投資ができなくなる可能性があります。

一方で、配当性向が低い企業は株主への還元意識が低いともいえますが、
『配当を増配する余地がある』ともとれると思います。
仮にその企業の方針が、”配当に力を入れる”といった方針なのであれば、今後の増配を期待することができます。

配当性向が高いと…

  • 🔵株主への還元意識が高い

  • 🔴事業成長に利益を使えていない

  • 🔴更なる株主還元の余地が少ない

  • 🔴減配のリスクがある

配当性向をどう見たら良いか?

では、配当性向はどれくらいの値が良いのか?
それは、分かりません!

私の配当性向に関する考え方をお伝えすると
その企業の過去の配当性向と比較するのがオススメです。

例えば、高配当で有名な2914 日本たばこ産業の配当性向を見てみましょう。
過去の業績情報を参考にする際、私はIR BANKを利用しています。


2914 日本たばこ産業の一株配当と配当性向(IR BANKより引用)

IR BANKで2914 日本たばこ産業の配当性向を確認すると、2022年の配当性向は75.4%!平均の33%の倍以上ですね!一番多い年に至っては88.1%の配当性向となっており、利益の9割弱を配当に充てているということが分かります。

そんなに配当にばかり利益を使って大丈夫?減配のリスクがあるんじゃ…
と思われる方もいるかと思います。(実際にコロナ禍で1度減配してますね…💦)


2914 日本たばこ産業の利益剰余金と有利子負債(IR BANKより)

一方、こちらの利益剰余金(企業が利益を分配しないで余らせているお金)と有利子負債(簡単に言うと借金)を見てみると、利益剰余金は増えており借金は安定しています。

今の現状だけ確認すると、もし仮に利益が減ったとしてもある程度であればこの利益剰余金でカバーできそうだなとも考えられます😊
このように、配当性向の値だけではなく複合的に企業を見てあげるのが良いかなと思います

また、企業によっては配当に関する方針を明言している企業もあるので、
配当を目的とした長期投資を考える際には要チェックですね👀
(ちなみに2914 日本たばこ産業は『配当性向75%(±5%)を目安とする』と発表しています)

まとめると、以下の通りです。

  • 利益を継続して出せそうか?(安定的に配当を出せそうか?)

  • 過去の配当性向はどの程度の水準か?

  • 中長期的な利益還元に関する企業の方針はどうなっているのか?

このあたりをチェックした上で配当性向の値を見てあげると良いかなと思います。

皆さんは配当性向をどのように見ていますか??👀
コメントにて是非教えてください😊



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