見出し画像

(勝手に)じぶん本屋大賞2024

2024年も残り1ヶ月をきったので、今年読んだ書籍の中で特に面白かったものを挙げていきたいと思います。
今年になってやっと「よく本を読む人」になったので、古い作品も含まれます。
みなさまもぜひ、一緒にじぶん本屋大賞やりましょう。





大賞(1作品)


羊をめぐる冒険/村上春樹

色々な小説を読んでみよう、と思った時に一番最初に興味を持ったのはもちろん(?)、村上春樹でした。
「スプートニクの恋人」から読み始めていくつか春樹ワールドを味わいましたが、わたしは本作が一番お気に入りです。
どこまでも続く高原の青々。いつも少し霧がかっていて、寂しさとはまた別の落ち着きが横たわっている。
羊をめぐる冒険を読んでいると、彼らの舞台が自分の中でイメージとなって、頭から離れなくなりました。まるで自分がそこに行ったことがあるみたいに。

将来ホテルを経営することがあったら、「いるかホテル」と名付けるでしょう。


金賞(2作品)


ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい/大前粟生

Xで知り合ったお友達が、「この小説は灯さんに似ていると思う」と言って勧めてくれた作品です。
読んでみると、確かに自分の吐息のリズムとほとんど同じでびっくりしました。
表題作のほか、3つの短編が入っています。「だいじょうぶのあいさつ」というお話がとてもお気に入りで、心がぎゅうとなります。


ここで唐揚げ弁当を食べないでください/小原晩

吉祥寺の「百年」にて、なぜだか吸い寄せられるように手に取り流れるように読み、当たり前のように文章を書こう、と思いついたきっかけの本です。
何度も読んでしまうほど魅力的で、自分が文章を書こうとすると文体や雰囲気が小原さんの作品に似てしまいそうで必死になって気をつけています。
うらやましいのかもしれません。いや、うらやましいのだと思います。

銀賞(2作品)


月と六ペンス/サマセット・モーム

上半期だけなら、大賞だったと思います。大好きな町田のブックオフで買いました。
外国の小説を読むのはそれほど得意ではなく、この話も途中までは何を話しているんですか?とばかり思っていたのですが、最後のシーンは圧巻でした。
日本に閉じこもっていたら、きっと想像できなかったであろう景色が見られます。


見るまえに跳べ/大江健三郎

大江健三郎の文章はとにかく描写して描写して描写しまくるのが特徴です。だから、物語の改造が高く良い意味で「個人の見解」の余地なし、という感じだと思っています。わたしはそういう文章、すごく好きです。映像を観ているみたいだから。ただエネルギーは消費します。
もっと古めかしい文章を書くのかと想像していたから、思ったより読めてよかった。出会えて嬉しかったです。

銅賞(3作品)


カグラバチ/外薗健

わたしのすきなジャンプ漫画は「D.Gray-man」と「青の祓魔師」。
つまり、厨二感満載の作画が綺麗な漫画が大好物です。
本作はドンピシャでそれです。バトルシーンの構図はいつ見ても鳥肌もの。
いつかアニメになるんだろうか。かっこよさがそのまま表現できるといいな。
久しぶりにジャンプの単行本を買いました。


ひらやすみ/真造圭伍

ほのぼの系にはハマりたくないなあとの謎の抵抗があったのですが、この作品を「ほのぼの系」という一言でくくるにはふさわしくないほど心が揺さぶられました。
何人もの著名人が同じようなコメントを寄せていますが、登場人物の痛みやちょっとずるい内面が正直に描かれていて、それにすごく安心できます。
阿佐ヶ谷で一人暮らしをしたいと思うようになりました。結構本気です。


杳子・妻隠/古井由吉

誕生日祝いに当時の恋人に貰いました。今思えば、誕生日にこの作品を渡すのはどうなんだ。でも好きです。特に「杳子」はとてもどきどきしました。気難しい言い方になってしまうかもしれませんが、わたしはこういう作品が芥川賞であってほしいと思っています。


以上がじぶん本屋大賞2024の作品たちでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ちなみに記事のサムネイルは吉田恭大さんの「光と私語」という歌集です。中身だけでなく装丁も素敵です。
最近買って良かったものは、濡れマスクです。喉が乾燥して辛かったので大助かりです。

それでは良い一日を。


いいなと思ったら応援しよう!