イタリアとオランダとベイルート

メタファ、日本語で言う隠喩(暗喩)
「書く」「表現」することにそれなりにこだわってきた人間としては、身近なメタファー。調べてみるとたくさんの解説が出てくる。芸術や表現だけではなく、哲学や宗教的な教義、童話、寓話などなど。仏陀の話にもでてくるのは知らなかった。

『涅槃経』第29巻では比喩を、順喩、逆喩、現喩、非喩、先喩、後喩、先後喩、遍喩の8種類に分類している。その中で、現喩は現前のものをもって表現する比喩で、遍喩は物語全体が比喩であるもののことである。

ここには隠喩暗喩はでてこないんだな。これだけでも比喩表現にはとても豊かなものがあることがわかる。
ところで、今日のタイトルのメタファー(暗喩)についてはわかるだろうか。
「イタリア、オランダ、ベイルート」???まさに暗喩である。引用元はこのサイトである

オランダ移住?生活?のサイトのようである。また、写真は「コウノドリ」というドラマのものだ。

読んでみると、なぜ、オランダか?ということが書かれている。

「オランダへようこそ」(Welcome to Holland)は、アメリカの作家・社会活動家のエミリー・パール・キングスレイ(英語版)によって1987年に書かれた、「障がいのある子を育てる」ということについての著名なエッセイである。

なぜ、オランダのサイトにという謎はここでとけるわけだが、なぜ、障害のある子を育てるということがイタリアとオランダに関係するの?と思い、さらに読むと

「イタリア旅行」は典型的な出産・育児のメタファーであり、「オランダ旅行」は特別な支援を必要とする子供を出産し育てることのメタファーである。二人称で(読者に呼び掛ける形で)書かれたこのエッセイでは、予期せぬ「オランダ旅行」への失望や当惑、周囲の語る「イタリア旅行」の話をうらやみ「本当は自分もイタリアに行くはずだったのに」と思う感情にも寄り添いながら、当初の計画にはなかった「オランダにこそある」幸福な体験に目を向ける。

大意は、もともと想定していた生活とは違う文化の生活が自分に訪れたときに、その文化の生活を「こそある」幸福な体験に目をむけようというメッセージなのだそうだ。↓オランダへようこそ日本語・Welcome to Holland英語pdf版

日本のダウン症協会のサイトにも「先輩ママからのメッセージ」として紹介されているようだ。

文化の違い、想定していた生活ではなく、予期せぬ事態に遭遇したときに、その生活の良さを見いだし生活していくことの必要性をイタリアとオランダと文化の違う国を比喩して使う。それこそがメタファーだと。

が、このサイトでそのあとに紹介されているのが、なぜかベイルート???と思って紹介サイトを読んでみると、なぜこれがメタファー???って思う紹介文。元をたどってみると、なるほど。と。
「Life is good but your life in never normal again, but hey, what fun is normal.」

オランダへようこそはダウン症児を育てる母の書いたエッセイ。そして、それをまさに文字って書かれた自閉症児を育てるAkoさんのエッセイ。比喩表現ではあるけれど、ちょっとメタファーといえるかな。紹介の仕方ではメタファーには読めなかったので。でも、きちんとオリジナルを読むとメタファーと言えるのかなと思いました。
 メタファーはもちろん直接的ではないから、文化をきちんと理解しないと表現として相手につたわらないわけです。元引用はオランダをテーマにしているので、少し違和感を感じる文章になったのでしょうね。
 障害のある方とその家族にかかわらせていただいている自分としては、いろいろと思うことがありますし、また、ベイルートを表現の先にすることについて思うことがないわけではありません。表現の自由と同時に、表現の難しさを感じました。

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