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映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』|クドカン式ごちゃまぜ社会派コメディ


やっぱり面白い!
絶対面白い!
クドカン脚本のドラマ『ゆとりですがなにか』の映画版『ゆとりですがなにかインターナショナル』(2023)。


『ゆとりですがなにか』は2016年に放送されたドラマです。22:30という超絶微妙な時間にスタートする日テレの「日曜ドラマ」。
どうでもいいですけど、絶対22:00スタートのがよくないですか?でもまぁ予想外に長く続いてるドラマ枠なので、私が思う以上に需要はあるんでしょう。と自分を納得させてます。


この「日曜ドラマ」の好きなドラマ堂々の1位が『ゆとりですがなにか』です。
正直、もう8年も前のドラマなのであんまり内容覚えてません!でも、「あんまり大きな事件が起こるわけでもないのになんかめちゃくちゃ面白かった!!!」という印象だけはがっちり残ってます。


殺人事件が起こったり誘拐されたり、天才がいたりゾンビがいたりしたら、それは盛り上がりますよ。あらすじも面白そうに書けると思います。
でも『ゆとりですがなにか』の面白さは「あらすじ」では伝わらないんです。日常を描いて、なんならちょっと「ゆとり世代」という社会を描いて、それでいてめちゃくちゃ面白いという謎のドラマ。何がそんなに面白いのかわからないけど面白い。まさにクドカンにしか書けないドラマ。


そんなドラマの映画版『ゆとりですがなにかインターナショナル』のあらすじはこちら。

夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の坂間正和(岡田将生)。いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路一豊(松坂桃李)。事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・道上まりぶ(柳楽優弥)。かつて、野心がない、競争意識がない、協調性がない「ゆとり世代」と勝手に名付けられた3人も令和の時代に30代半ばを迎え、それぞれ人生の岐路に立たされていた…。家族、仕事、仲間、ライバル、不倫疑惑、マッチングアプリ、エビチリ、二日酔い…彼らの前に立ちはだかる数々の“人生の試練”…!そして、Z世代、働き方改革、コンプライアンス、多様性、グローバル化…といった想像を超える新時代の波も押し寄せ、物語は予想外の展開へ…!時代は変わった。俺たちは…どうだ!?

prime videoより


オープニング曲がドラマと一緒です!
これめちゃくちゃ大事!
しかも、ドラマと同じ使い方で本人らの映像も使われてました。


正直この8年間1回も聞いてなかった曲なのに、「拝啓、いつかの君へ〜」と流れ出した瞬間「そうそう!これこれ!!!」と懐かしさで胸がいっぱいに。


「あんたの正義は一体なんだ?」(感覚ピエロ「拝啓、いつかの君へ」)


私の正義?わからん!わからんけど、音楽が懐かしい!
しかも関係ないけど、バンド名の由来は伊坂幸太郎の『重力ピエロ』だそうです。感覚ピエロさん、気が合いますね。(←『重力ピエロ』好き)


それにしても音楽ってすごいですよね。
忘れていたはずなのに、その曲を聞くだけで毎週『ゆとりですが何か』を楽しみにしていた自分を思い出しました。
ドラマ→映画になる際、私は基本的に同じ曲を使ってほしい派です。だって、もうその物語とその曲はセットなんです。そうなるように製作陣も仕組んでいたはずなのに映画になったとたん全然違う曲になるのはナシじゃないですか?
ということで、オープニングから私のテンションは上がりまくり。


まず、吉田鋼太郎演じるレンタルおじさんをいまだに頼っている岡田将生と松坂桃李がめちゃくちゃ面白い。


婚活中の松坂桃李に至っては、初めて会う女性が目の前にいるにも関わらず、iPadに吉田鋼太郎を映して(遺影のように胸に抱いてます)相談し続けるという暴挙に。
あ、こいつダメだわ、まだ絶対童貞だわ。っていうかこの先もずっと童貞!こんな奴嫌だ!!!
と本気で思わせる松坂桃李の演技力よ。桃李くんはあんなにイケメンなのに本気で「気持ちわる!!!」となりました。
そして、桃李くんがiPadを持ち直した拍子にに吉田鋼太郎の映像がくるっと回転したところが好きすぎ。


ドラマでは驚異の存在だった、岡田将生が務めている会社のモンスター(新卒)だった仲野太賀も登場。
昔は岡田くんの説教にパワハラを主張し、挙句に法的脅迫を含む異常な要求をしていた太賀ですが、なんと今回は太賀が新卒からパワハラで訴えられていました。

……いや、今度はお前が訴えられてんのかい!


あの「ゆとりモンスター」がパワハラで訴えられてるなんて時の流れを感じますね。


それにしても、本当に今は「セクハラ」「パワハラ」認定が厳しいから難しいですよね。決して意地悪でやってることじゃなくても「無理!」と思われたら即アウト。ほんと気をつけないといけない時代になりました。


いつの時代も「今の若い人は」と言われ、いつの時代も「言葉が乱れてる」と言われる。


いつの時代も言われるということは、言っている人も昔は確かに言われる側だったということで、同じように昔誰かに言ったことは時を経て自分が言われる側になるということなんですよね。


コンプライアンスが厳しい令和にゴリゴリ昭和の男がタイムスリップしてくるドラマ『不適切にもほどがある!』(2024)の脚本も宮藤官九郎ですが、クドカンの社会性みたいなものは『ゆとりですがなにか』から始まったんじゃないかなと久しぶりに『ゆとりですがなにか』を見て思いました。


『ゆとりですがなにかインターナショナル』の中でも【Z世代】【働き方改革】【コンプライアンス】【多様性】【グローバル化】という様々な「現在」が描かれています。
こう書くとめちゃくちゃ社会派の映画じゃん!と思いますが、もちろんそんな感じではなく、岡田くんの下半身に長時間モザイクをかけたり、記憶をなくしたり、ハロウィンの人混みの中で本当に血まみれになったりとやりたい放題。


ちなみに、クドカンのコメディは「スンっ」となったら正直終わりです。
大笑いして見ていても、ふいに付いていけなくなって突然「スンっ」となってしまうことがあるので注意してください!(私だけかもしれません)
私はクドカンが監督•脚本の映画『真夜中の弥次さん喜多さん』で「スンっ」が訪れたのでクドカン脚本の映画を見る時は少しだけ注意してます。


正直、今回も途中一瞬危うくなりかけましたが、ギリギリのところで踏みとどまり、無事に最後まで楽しく見ることができました!!!


とりあえず桃李くんは
レンタルおじさんから卒業して!!!


8年前に「ゆとり世代」と言われていた3人が「令和」でも元気に、頑張っている姿を見せてくれて嬉しい。
また3人が40歳くらいになってるタイミングでスペシャルドラマとか観たいな〜。
オープニング曲は、絶対「拝啓、いつかの君へ〜♪」でお願いします!


おしまい。

岡田くんにあんなに愛されてる安藤サクラが羨ましい……


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