映画『かがみの孤城』| あの教師の根性を叩き直したい
なんとなくずっと気になっていた映画『かがみの孤城』(2022)をprime videoで見ました。
原作は辻村深月の『かがみの孤城』。
辻村深月さん、いいですよね。
私も大好きなんですけど、本屋大賞取った時にはもちろん本屋で手も伸ばしたんですけど、表紙とあらすじを見て「……ファンタジーかぁ」と結局読まず仕舞いでここまで来てしまっていました。
ということで原作未読の映画『かがみの孤城』のあらすじはこちら↓
こちらの映画、声優に人気俳優の方が多いです。
主人公のこころに當真あみ、こころと同じく城に集められた中学生リオンに北村匠海、スバルに板垣李光人、オオカミ様には芦田愛菜、こころの母には麻生久美子、フリースクールの先生には宮﨑あおいという錚々たる顔ぶれ。
見始めて「當真あみちゃんも北村匠海くんも全然顔思い浮かばないな〜みんな上手だな〜(声優は本人の顔がチラつかなきゃオッケー派)」と思っていたんですけど、主人公と同様に城に集められた7人のうちの1人・マサムネという少年が一言発した瞬間に衝撃が走りました。
普通の子の中に、芸能人が混じっているような、ステージが違う、その感じ。
というのも、高山みなみさん(『魔女の宅急便』『名探偵コナン』など)のマサムネと、梶裕貴さん(『進撃の巨人』『ハイキュー』など)のウレシノが異次元なんです。声優じゃない方が多かったからか、逆に浮いている気さえするおかしな事態に。
さっきまで十分「みんな上手だな〜」と思っていたはずなのに、そこに声優が本職の方が混じると一気に褪せてしまうというか、声に特徴がないように思えてくるというか。
なんだか若干、声に色が足りない感じがして、やっぱり声優の方は違うなと改めて本職の方のすごさを感じました。
高山さんのあまりの声の存在感に、アニメーションはやはり本職の方にやってもらった方がいいのでは……とも思いましたが、プロモーションや集客を考えると著名な女優、俳優を使いたくなりますよね。當真あみと北村匠海だったら2人の写真入りで映画雑誌とか『王様のブランチ』の映画コーナーとか、様々なとこでインタビュー込みで特集してもらえそうですもん。
『かがみの孤城』は原作が本屋大賞まで取ったんだからそこじゃないところで勝負できるだろうとも思いますけど、少しでもヒットに繋がることがしたいのはわかります。
声優が本職の方も起用したのは全体の底上げを狙ったのかもしれませんが、このメンツなら逆に声優が本職の方を混ぜない方が良かった気がします。
いや、存在感がありすぎた、ありすぎたよ、コナンくん。
※この先は物語の内容に触れますので、是非映画を観てから読んでください!この映画、ストーリーのキーとなる部分を知ってしまうと、大幅に感動が薄まるかと思います!
さて、ストーリーについて。
楽しかったですし、原作読んでないので特に「あのシーンカットしやがって!!!」等の不満はないんですけど、原作が本屋大賞まで受賞しているとなると、原作はきっともっと感動があるんじゃないかな、という感じがしました。あの本の厚さを2時間弱にまとめると、よほど思い切った構成にしない限りどうしたって駆け足になり、ダイジェストのようになってしまう気がします。
そして、この映画がわかりやすすぎたのか私の勘が冴えていたのかわかりませんが、序盤からなんとなく先のストーリーの想像がついてしまいました。
集まった7人の歳が近い、ということが判明した時点で「違う時代から来てるんじゃ」と早々にピンときてしまい、
フリースクールの先生がいい人だ、という話が他の子から出た時点で「違う時代の同じ先生だな」と予測でき、
学校で会うと約束した時には「(時代違うから)絶対会えない!」と確信し、
リオンのお姉ちゃんが昔病気で死んでしまった話からオオカミ様がお姉ちゃんであることも、病室にこれ見よがしに置いてあったお城のドールハウスがこの城であることも想像でき、
アキだけフリースクールの先生の話をしなかったので(スバルもしてなかったけど性別的に)、この子が将来フリースクールの先生になって他の子たちをいろんな時代で救うところまで推測できました。
映画を見ながらペラペラと夫に自分の予想を話していたので、夫の感動まで半減させたかもしれません。
それが全てその通りだったので、感動というよりも後半は答え合わせのようになってしまい、「私、名探偵すぎんか?」と不安になったくらいです。
でもですよ、私ごときがこんなにもすらすら物語を想像できたということは、セリフや描写がちょっとわかりやすすぎたのかもしれないとも思います。この辺がわからなかったら、最後もっと感動できたかもしれません。
(あ、「狼と七匹の子山羊」にかけてるのは全くわからなかったし、わかったあとも何でかけてるのかわかってません)
それにしても、このトリックはアニメーションならではだなと思いました。
時代感ってどうしても服装や髪型に出るものなので、実写化は難しいですよね。
さて、映画が終わった後に私が1番気になったのは、こころが通う中学の担任であるクズ教師がどうなったのかってことです。
そもそもね、超絶くだらないことでこころをいじめてたクラスのリーダー格の女子・真田がクズですよ。
クズだし、本当に訳がわからない。
「バカ」「死ね」など直接的な暴言を吐くのはもちろん、自分の彼氏(池田)に「俺、お前みたいなブス、大嫌いだから」とこころに言わせるんです。
いや、マジで意味わからん。
真田は池田と付き合ってるんですけど、池田は昔こころのことが好きだったらしく、要はそれが気に食わないんですよね。
こっちだって池田なんて好きじゃねーんだよ!
つーか、おめー(真田)がブスだよ!心がドブスで見てられねーよ!!!
池田、お前も、彼女に命令されたからって前に好きだった子に何言ってんだ!小せぇ男だな!!!!!
と思わずテレビに向かって叫びました。
それでも真田の暴走は止まらず、「あいつ(こころ)が私の彼氏を誘惑した」など根も葉もない噂を周囲に広めたり、大量の女友達を引き連れてこころの家まで押しかけて「出てこいよ!」「いるんだろ!」と玄関の扉を叩き、庭から部屋のガラス戸を叩きまくったりと、もう訳がわからないにも程がある。
将来どうか不幸になりますようにと真剣に呪いをかけておきました。
いじめする奴って、自分のことほんとにどう思ってんでしょうね?
例えば将来、自分が本当に誰かを好きになった時、好きな人との子供ができた時、いじめをしていたことを話せるのか?何にも悪くない女の子に最悪のことした自分を正直に言えるのか?自分を恥ずかしいと思う時は来ないのか?
いじめする奴とか本当にくだらないし、最低だし、心の底からバカだと思ってるんで、個人的にはいじめやったら罰金500万とか法律で決めればいいと本気で思ってます。いじめをする奴は罰金払わせて強制引越し。
もうね、良心に訴えるとか教育でどうにかなるとかそういう次元じゃないんですよ。SNSがこんな普及して、もう止めることなんてできないんです。加速して、より酷く、より残酷になるだけ。
ちゃんと「犯罪」という括りにして、本気で対応しないとダメだよ、と教育と全く関係ない仕事をしながら思ってます。
話逸れましたけど、そんな真田とこころの担任・伊田が信じられないくらいバカです。
こころの家に訪問してくるのですが、何故か加害者である真田の話を全面的な鵜呑みにした発言の数々。
女子の間でトラブルがあったようで……
真田にも真田の……
明るくて責任感の強い子……
誤解されやすいところもある子……
真田も心配している……
真田のことばっかうるせーんだよ!!!
こころの話をまずちゃんと聞け!!!!
挙句に伊田は、真田と会って話をしてみないかとまで言い出しました。
……頼む、こいつ早くどっか連れて行ってーーーー!!!!!
こっちはムカついて発狂する5秒前だよ、ばかやろう!!!
かわいくて、明るくて、クラスの人気者の、自分とも仲のいい女子生徒。
そういう生徒の肩を持ってしまうなら、お前はもう教師をやるな!傷ついて、怖くて、学校に行けない生徒が目の前にいるんだぞ!!!そっちの話をまずちゃんと聞くのが先だろうが!!!なに、真田に話聞いただけで全貌がわかった気になってんだよ!怖すぎるよ!!!
真田が子分を連れて家まで来たこと、ドアを叩いて脅したこと、暴言を吐きまくっていたところ、それにプラスして担任のお前の発言、全部まとめて教育委員会に送ってやるよ!!!
お前は担任を持ってる場合じゃない。まだまだ教師という人間の影響を多分に受ける中学生を指導できる力が、お前にはない。
頼むから、もう一回、いや、一回と言わず何度も真面目に研修を受けて、勉強してくれ。傷ついてる生徒の気持ちも想像できないようじゃ、この先担任を持たせることはできない。
と、校長先生か、同僚の先生方、どなかちゃんと伝えてくれてます?間違っても「大変だったね」とか言って済ませてないですよね?
エンドロールが流れ始まると同時に「ねぇ、あの担任どうなったの?ちゃんと反省してんの?!」と私は叫びました。
伊田、生徒にお気に入りも仲良しもない。
生徒は平等に、冷静に見ろ。
そしていつかちゃんとこころとこころの両親に頭をさげろ。
……ところで、こころのお父さん、何もしてなくない?なんかしゃべってた?存在感なさすぎじゃないか?
いるんだよね?いるって言ってたよね?
仕事忙しいのかなんなのか知りませんけど、
あんたもちゃんと娘を守るんだよーーーーー!!!!!!
おしまい。
コミカライズもしてました。
その後、伊田が心底反省して、こころに言ったことを後悔していることを祈る。