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今月の本*二つ以上の世界を生きている身体

こんにちは。
今月の本は「韓医院の人類学 二つ以上の世界を生きている身体」
東洋医学と西洋医学の差異を丁寧に述べつつ、優劣ではなく違いを魅力と捉え、それぞれの良いところを活かし未来への道を作るという、今後の医療のあり方を提唱したかのような本でした。

今回は私が特に印象的だった点を書き記していきたいと思います。



「事実は一つ」ではない

西洋医学は体の中を数値化し<正常・異常>を分ける点に焦点を合わせた治療法をします。一方東洋医学は体を流れで見みる治療法です。
この違いは、診察室や薬との関わりも違いがあります。
ひとつの体の症状(問題)をどう診ていくのか。アプローチ方法が違うのは、その下にある哲学(思想)違うからだということも書かれていて、とてもわかりやすく、納得でした。
ここから見えてくるのは、「思想」がモノや人、関係性を作るのだとふと感じました。

異なる哲学(思想)を知ることの重要性

日本の病院では「西洋医学」を学んだ人が先生と呼ばれて、体の治療の専門家として位置付けされています。本書ではひとつの世界をいう言葉で表現されます。

東アジアの医学をもう一つの世界と表現されていて、世界の医療は一つだけではなく、文化があるところに医療が生まれ発展し、それらはそれぞれの思想があり、その思想を知ることがとても大切だと感じ、東アジアの医療の考え方がどこか心地よく人に寄り添っているのかな。と流れを読む医療に共感です。


病の名前

病名は、体がどのような状態かを言語化したもので、捉え方が違うと名前が変わる。
西洋医学では、高血圧、逆流性食道炎、脳梗塞といって病名で表現される。
東洋医学では、気鬱、中風、消渇で表現される。
西洋の言葉は明瞭でわかりやすく、東洋の言葉はどことなく曖昧さを感じる。
病名の場所を的確に記し焦点を合わせていく。一方東洋の考え方は、流れなので固定されていないのです。だからどこか曖昧。

状態を表す言葉なのか、症状が流れに対する体の反応と捉えているからどこか抽象的な言葉が使われるのだと。

本来日本人は、読み取る力の強い民族だとも言われているので、親和性が高いのかもしれませんね。
昔むかし、日本でもこの医療が主流だったころもあり、時代とともに西洋医療が主流になった今、私たちが何を選ぶか考えるきっかけになります。


治療と治

漢字の治という感じは、流れを表しています。
体の流れを観て治療(流して癒すが根本)をする。漢字はびっくりするくらいよくできているなあ。と感心するばかりです

最後に


一つの体を診る行為が全く違うアプローチをする医療について書かれてた本ですが、これは風土が生んだ産物なんだと感じました。
そこで生まれた医療をはじめ美術、哲学は相関関係にあり、どこか共通するモノなんだと。とても広い視点で描かれた本でした。


自分ごとに落とすと、自分の思想と違う思想を知ること、新しい方法や考え方を身につけること、そしてその思想の下にある歴史を知ることが大切なんだと。

そして、言葉の成り立ちや本質を知ることで、言葉を使うことがより楽しくなる。

そんなことを感じた本でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。


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