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熨斗紙デザイン

先日仕事で熨斗紙のデザインを担当させていただきました。
熨斗紙とは、贈答品を包むのに使われます。
たとえば結婚祝いや出産祝い、お祝いへのお返し(内祝い)、周年の記念品など使用シーンは様々です。

今回は大学の創部50周年の記念品に使用する熨斗紙デザインを作るにあたり、熨斗について少し調べてみたので、忘備録として残しておきたいと思います。


熨斗(のし)の歴史


熨斗の歴史は古く、日本書紀(702年)には、倭姫命(やまとひめのみこと)が伊勢のあわびに感動し献上するよう命じたところ、鮑を薄くスラシスして乾燥したものを献上したことから「熨斗鮑」が誕生したと伝えられています。
また、「肥前国風土記」(8世紀)には、命乞いをするために熨斗鮑に模したものを木の皮で作ってみせるという話が残っているそうです。

鎌倉時代から戦国時代では、乾燥した鮑は水で戻し食することができ精がつくと「最強の保存食」として陣中見舞いとして使用されていたとか。
戦勝祈願で千本、二千本の熨斗鮑が贈られたそ記されているようです。

その後、出陣帰陣の儀礼で使用されるようになり、縁起をかつぎで、出陣の膳では〝敵を討って、勝って、喜ぶ〟にかけて、 三方(供物用の台)に載せた打ち(熨斗)鮑、勝ち栗、昆布を順につまみながら三度杯を酌み交わします
帰陣の祝膳では、打ち鮑を熨斗鮑として配置を替え、勝ち栗、熨斗鮑、昆布と並べて“勝って、のして、喜ぶ” といっそうの威勢を示す意を表したといいます。これを「式三献の儀(しきさんこんのぎ)」とされました。

結婚する前の結納の儀式は、平安時代の貴族社会で行われていた習慣で、その後武士社会となり、武士にも広まります。一般庶民に定着するのは明治時代になってからとなります。

明治時代になり、年末年始のご挨拶として得意先に渡す品に「熨斗(祝儀)袋」が使われるようになり、熨斗袋が使用されるようになり、当時高等教育を受けた女性の授業で熨斗袋も折熨斗を習い、女性の高い教養の一つとされていました。
その後印刷技術が発達し、大正末期に「熨斗紙(又は熨斗袋)」が発明されてデザイン化されていきます。

送る側が誰であるかで表記が異なる

今回は創部50周年記念品に使用する熨斗紙デザイン。
熨斗紙デザインの中心にある「水引」。
これを選ぶ際には、目的に合わせて選ぶ必要があります。
今回は、蝶々結びを使用します。

蝶結びは「何度繰り返されてもいいお祝い」や、一般的な贈答品に最適な結び方。
そして熨斗配置。

次に、お祝いを誰が誰に送るかで、言葉が変わってきます。

今回はOBの方が現役生に送るため、「御祝」と記載します。
これが現役生が50周年を祝い、お世話になった方々に送る場合は違う記載をします。


最後に


これまで何気に見ていた熨斗紙ですが、実際に自分事として実際に作ってみると、いろいろな決まりや心遣いがあるのだと知る機会となりました。

また熨斗紙を作るに際し、専門家の方々に問い合わせをさせていただきました。
その方々の理解や解釈が若干異なるのですが、お客様とより信ぴょう性の高い方の意見をもとに作成をし、印刷工程へ進むことができました。

仕上がりが楽しみです。


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